jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

Japan-Europe Forum for Global Issues 2018で「自由で開かれたインド太平洋構想」について発表—江島顧問

2018.12.26

2018年12月6、7日に、ドイツのベルリンでJapan-Europe Forum for Global Issues 2018が開催され、JICA研究所の江島真也顧問が「自由で開かれたインド太平洋構想」について発表しました。同フォーラムは、欧州連合(EU)のシンクタンクである欧州外交評議会(European Council on Foreign Relations: ECFR)のアジアプログラムの一環として開催され、今年で4回目です。

「自由で開かれたインド太平洋構想」について発表したJICA研究所の江島真也顧問(右から2人目)

江島顧問は、7日の「Competing connectivity projects in the Indo-Pacific(インド太平洋において競合する連結性プロジェクト)」がテーマのラウンドテーブルにパネリストとして登壇。「Free and Open Indo-Pacific Vision: From Competition to Collaboration with BRI(自由で開かれたインド太平洋構想:一帯一路構想との競争から協調へ)」と題し、日本が掲げる「自由で開かれたインド太平洋構想」と中国の「一帯一路構想」の提言から現在に至るまでの変遷を説明しました。

「一帯一路構想」は、2014年11月に中国の習近平国家主席が「One Belt, One Road Initiative(OBOR)」として提言し、2015年9月には「Belt and Road Initiative(BRI)」となり、2017年5月には中南米地域にまでその範囲を拡大することが発表されました。一方、日本の「自由で開かれたインド太平洋構想」は、2016年8月にケニアのナイロビで開催された第6回アフリカ開発会議(TICAD IV)で、安倍晋三首相が「自由で開かれたインド太平洋戦略」として提言したもので、アジアとアフリカの「連結性」を向上させることで、地域全体の安定と繁栄の促進を目指しています。2018年9月にロシアのウラジオストクで行われた日中首脳会談で、日本は「一帯一路構想」と協調していく姿勢を表明し、2018年11月に「自由で開かれたインド太平洋構想」として、開発協力の重点方針に位置づけました。

江島顧問は、冒頭「自由で開かれたインド太平洋構想」の出発点は2007年8月の安倍首相によるインド国会での演説「二つの海の交わり」にあることを紹介。その上で、成長著しいアジアと潜在力があふれるアフリカの「2つの大陸」と、自由で開かれた太平洋とインド洋の「2つの大洋」の交わりにより生まれるダイナミズムを一体として捉えることで、新たな日本外交の地平を切り開くと説明。アジア諸国に対してはインフラ整備、貿易・投資、ビジネス環境整備、人材育成などを面的に展開していくこと、アフリカ諸国に対しては開発に加えて政治・ガバナンス面でもオーナーシップを尊重した国造り支援を行っていくと述べ、今後の課題として、情報共有や相互理解の促進、人材育成の重要性を挙げて発表を締めくくりました。

同ラウンドテーブルでは、中国の一帯一路構想から、欧州と日本のインド太平洋におけるインフラ整備への貢献、金融商品についてまで、幅広い分野での議論が行われました。

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
トピックス一覧

RECOMMENDこの記事と同じタグのコンテンツ