JICA緒方研究所・国際連合大学共催ナレッジフォーラム「AIはアフリカに何をもたらすのか」開催
2024.11.12
2024年7月30日、JICA緒方貞子平和開発研究所(JICA緒方研究所)と国際連合大学(国連大学)は、ナレッジフォーラム「AIはアフリカに何をもたらすのか」を共催しました。アフリカのさまざまなセクターでの人工知能(Artificial Intelligence: AI)による変革の可能性を探り、包摂的なAIガバナンスの必要性にも重点を置きつつ、AIの可能性と課題の両方に着目した議論が行われました。JICA緒方研究所の宮原千絵
副所長は開会あいさつで、AIに関する国連総会での初の決議や、世界規模の包摂的なAIガバナンスを促進するため、日本政府が主導した「広島AIプロセス」を紹介しました。
開会あいさつを行ったJICA緒方研究所の宮原千絵副所長
国連大学のチリツィ・マルワラ学長(国連事務次長)は、「Resuscitating Africa Rise: The Role AI can Play」と題した基調講演を行いました。まず、アフリカは経済成長を遂げる一方で、気候変動や世界的な紛争、近年の新型コロナウイルス感染症のパンデミックといった課題に直面しているとしながらも、アフリカの社会・経済の成長に対して前向きな見通しを示しました。
マルワラ学長は、アフリカが直面している課題に対処し、その潜在力を解き放つ上で、AIは重要な鍵を握ると強調。例えば、AIを活用することで、遠隔診療を通じたヘルスケアの改善、農業生産性の向上、個人に合わせた教育の提供が可能になるほか、金融包摂の拡大やサービス提供の改善にもつながることから、AIが果たす役割は大きいと述べました。ただし、アフリカは輸入した技術に頼るのではなく、現地の文脈に合わせた独自のAIシステムやアルゴリズムを開発・活用しなければならないと指摘。そのためには、科学・技術・工学・数学(Science, Technology, Engineering and Mathematics: STEM)教育や職業訓練への多大な投資が必要になると述べました。
また、AIをアフリカに適応させるためには、地域的な連携や包摂的な政策づくり、そして包摂と公正、説明責任を優先したAI政策が求められることを指摘しました。さらに、AIが持つ潜在的なリスクを緩和し、AIの開発・導入を担う実務者らに説明責任を課す政策を実現するため、オープンデータ化を実現し、アフリカのAIの開発が進む環境づくりの推進が重要だと強調しました。
基調講演を行ったチリツィ・マルワラ国連大学学長(国連事務次長)
宮原副所長がモデレーターを務めたパネルディスカッションでは、まずJICA緒方研究所の峯陽一
研究所長と、JICAガバナンス・平和構築部STI・DX室の山中敦之国際協力専門員が意見を述べました。
峯研究所長はマルワラ学長の発表を受け、アフリカのオーナーシップ(主体性)とパートナーシップ(協力)、地域を横断した連携の重要性を強調。また、アフリカの学生らが活発で革新的な精神の持ち主であることを挙げ、日本の政策立案者らに対し、アフリカの学生や若手専門家らの受け入れを拡大し、自然・社会科学の発展に彼らの可能性を生かすよう呼びかけました。山中専門員は、アフリカのスタートアップ企業が秘める革新的な潜在力や頭脳循環の重要性を論じました。アフリカと日本の人材による国際頭脳循環によって、日本とアフリカのさまざまな課題を解決し、互いの開発を加速し得る補完的・共生的な知見が形成されると説明し、それに日本で育成されたアフリカの人材が参加する可能性も示しました。
パネルディスカッションに参加したJICA緒方研究所の峯陽一研究所長)
次に、峯研究所長は、AIの軍事利用や非民主的な政権がAIを使用するリスクなどを踏まえ、AI規制の必要性についてマルワラ学長に質問を投げかけました。それに対しマルワラ学長は、AIの便益を最大化し、リスクを最小化するため、世界、地域、国、産業の各レベルでの規制が必要だと述べました。
山中専門員は、大手テクノロジー企業によるAI開発の優位性を踏まえ、AIガバナンスの世界的な枠組みにどう開発途上国の主張を取り入れるか質問しました。マルワラ学長は、開発途上国の声を増幅する上では、国連システムやアフリカ連合などの地域機関が重要だと強調。国連のAIに関するハイレベル諮問機関の役割を取り上げるとともに、将来のAI開発者が自身の仕事の世界的な影響を理解できるようにするため、教育面での取り組みが必要だと強調しました。また、AIガバナンス政策に影響力を及ぼすため、地域連携の強化や、アフリカの声を届けるためにG7のような国際的な議論への参加が必要だと述べました。
パネルディスカッションに参加したJICAガバナンス・平和構築部STI・DX室の山中敦之国際協力専門員
質疑応答では、マルワラ学長に対し、「国連のAI規制案は、異なる政府や組織でどのように有効に実施され得るのか」との質問がありました。マルワラ学長は、気候変動のような国際的な課題に対しては、政策立案者が自国の利益だけではなく国際的な利益にも目を向けてバランスを取る必要があると指摘し、AIの活用にも世界中のコミュニティーの関与を拡大する必要があると応じました。
閉会あいさつを行った国連大学の白波瀬佐和子上級副学長(国連事務次長補)は、AIには持続可能な開発を推進し、さまざまなセクターの状況を改善し、教育格差を是正する潜在力がある一方、その潜在力を活用するための強力なガバナンスの枠組みや国際連携も必要だと強調しました。
閉会あいさつを行った国連大学の白波瀬佐和子上級副学長(国連事務次長補)
本フォーラムの動画は以下のリンクからご覧いただけます。
事業事前評価表(地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)).国際協力機構 地球環境部 . 防災第一チーム. 1.案件名.国 名: フィリピン共和国.
事業事前評価表(地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)).国際協力機構 地球環境部 . 防災第一チーム. 1.案件名.国 名: フィリピン共和国.
事業事前評価表(地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)).国際協力機構 地球環境部 . 防災第一チーム. 1.案件名.国 名: フィリピン共和国.
事業事前評価表(地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)).国際協力機構 地球環境部 . 防災第一チーム. 1.案件名.国 名: フィリピン共和国.
事業事前評価表(地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)).国際協力機構 地球環境部 . 防災第一チーム. 1.案件名.国 名: フィリピン共和国.
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