『Innovation with Spatial Impact: Sustainable Development of the Brazilian Cerrado』

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ブラジル内陸部にある広大な熱帯サバンナ地域「セラード」は、かつて農業には適さない不毛の地だと考えられていました。しかし今では、世界で最も生産性が高い農業地帯の一つとなっています。

わずか40年余りの間に、農業の近代化のほか、農業関連のバリューチェーンや産業集積を基盤とする新たな産業が発展し、セラードでの農業は目覚ましい転換を遂げました。こうした変化によって、競争力があり付加価値の高い食肉や植物油などの輸出品が生まれ、地域の発展と雇用の創出にもつながりました。

本書では、空間経済学とそれに関連したアプローチを用いて、この転換の過程や、社会経済面および環境面への影響を分析しています。転換の過程には、流通、サプライチェーン、知識の拡散、環境的な制約、移民、都市化といったさまざまな空間的な関係性が関わってくるからです。

著者らは、セラードの農業発展を分析する上で、穀物生産の拡大と多様化に加え、農業と関連産業からなる産業集積やバリューチェーンの構築に焦点を当てています。また、知識の拡散の直接的および間接的な影響も評価しました。さらに、セラードの農業開発から生まれた空間的な構造、例えば農業・食品加工バリューチェーン、土地利用、都市化や都市ネットワークの空間的構成の変化なども分析しています。

本書は、国連食糧農業機関(FAO)と国際協力機構(JICA)の共同研究プログラムの成果として出版されました。JICA研究所の細野昭雄シニア・リサーチ・アドバイザーが、本書の著者および編者の一人を務めています。

編者
細野 昭雄、 濱口 伸明、 Alan Bojanic
発行年月
2019年8月
出版社
Springer, Singapore
言語
英語
ページ
192ページ
関連地域
  • #中南米
開発課題
  • #農業開発・農村開発
ISBN
978-981-13-6181-4 (ハードカバー)
978-981-13-6182-1 (eブック)