No.12 Yosei-shugi (要請主義): The Mystery of the Japanese Request-based Principle

  • #ディスカッション・ペーパー

案件形成の単なる手続きに過ぎないはずの相手国政府からの援助要請が、いつの間にか「要請主義」と呼ばれるようになり、理念に近い地位を得るまでに至ったのはなぜか。本稿では、このパズルに1)要請主義という概念が登場するに至る歴史的な過程、2)日本政府から見た要請主義を「主義」たらしめている要素、3)要請主義が被援助国に与えた影響、という三つの視角から接近する。要請主義は、後発援助国である日本の特殊性を示す歴史的な名残である。要請主義は、戦後賠償の時代から脈々と続いてきた手続きであり、それが「主義」として地位を得たのは1980年代後半になってからであった。現在では日本の援助のセールスポイントとしての機能は失われたものの、類似のアプローチは中国やタイなどの新興援助国でも採用されている。本稿は、1950年代の戦後賠償期における援助の実践の展開を追うことにより、要請主義がどのようにして日本型援助の特徴として制度化されるに至ったのかを明らかにしようとするものである。

キーワード:要請主義、日本型援助、援助理念、ヒモ付き援助

著者
佐藤 仁
発行年月
2023年7月
言語
英語
ページ
22
関連地域
  • #アジア
開発課題
  • #日本の開発協力
研究領域
開発協力戦略領域