No.34 Perceptions of Microfinance: Evidence from a Household Survey in Cambodia
JICA緒方研究所について
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本研究は、2021年の家計調査データを用いて、カンボジアにおけるマイクロファイナンスに対する人々の認識を検証し、個人および世帯の特性に注目しながら、その認識に影響を与える要因を分析した。特に、マイクロファイナンスの金利に関する認識、起業支援におけるマイクロファイナンスの役割に関する認識、生活水準の向上におけるマイクロファイナンスの役割に関する認識、そして債務負担への影響に関する認識に焦点を当てた。分析結果によると、金融リテラシーや社会関係資本(地域内の社会的ネットワーク)がより高い回答者は、マイクロファイナンス機関が比較的に高い金利を課していることを認識している傾向があることが示された。また、自営業者はこれらの金利が妥当ではないと認識している傾向があることも明らかになった。一方で、多くの回答者はマイクロファイナンスが起業支援や生活水準の向上に役立つと考えているものの、金融リテラシーや社会関係資本が比較的高い回答者および複数の借入を抱える回答者の間では、マイクロファイナンスによる債務負担の増加に対する懸念が見られた。これらの分析結果を踏まえ、本研究は、借入者が債務を効果的に管理できるようにするために、金融教育の強化、地域社会のネットワークの充実、そしてカウンセリングサービスの提供が重要であることを示唆している。これらの方策は、マイクロファイナンスが人々の生活に良い影響を与え、カンボジアの社会経済発展に貢献するために不可欠である。
キーワード: 認識、社会関係資本、金融リテラシー、マイクロファイナンス
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