No.35 The Impact of Dhaka Mass Rapid Transit on Road Congestion
JICA緒方研究所について
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Dhaka Mass Rapid Transit(MRT)6号線は、バングラデシュで初めての鉄道ベースの都市大量輸送システムであり、ダッカの深刻な交通渋滞を緩和することが期待されている。本稿は、ダッカMRTライン6の導入が交通渋滞を緩和する影響を、「差の差(Difference-in-difference)」の複数期間バージョンである「Two Group Event Studies Design」(Freedman et al., 2023)を使用して検証した。実地調査ベースでの移動時間データの代わりに、Googleマップから得られる超高頻度リアルタイムの二地点間移動データを使用して車両の速度に与える影響を推定した。準実験的分析の結果、MRT6号線が通る回廊やその周辺では、MRTの開通に伴い車両速度が有意に向上する影響が示された。車両速度は、MRTの運行時間および駅の段階的な拡張に即座に反応して増加している。一方で、時間の経過とともに速度上昇の効果は低減しており、MRTによって作り出された交通容量が新たに生み出された交通需要によって徐々に飽和している可能性を示唆している。これは「道路渋滞の基本法則」を裏付ける経験的なケースを提供している。
キーワード: 都市交通、移動時間、大量高速輸送、渋滞
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