No.2 Ethics of Randomized Field Experiments: Evidence from a Randomized Survey Experiment
JICA緒方研究所について
JICA緒方研究所について
被験者の不効用と実務者の懸念を軽減しつつランダム化フィールド実験を行うために、本研究では潜在的な被験者が持つ倫理的な懸念について実証的に研究する。まず、約 2,000 人の回答者に既存の 6 つの実験について倫理的に問題があるかを質問した。その結果、6 つの実験のうち、保育園での介入実験が最も受け入れられやすく、宝くじを用いた募金の実験が最も倫理的な観点から受け入れにくいと認識されることがわかった。このような倫理的懸念を緩和する方法を検討するために、次に、回答者を 4 つの群に無作為に割り当てる調査を行った。その結果、研究デザインをランダム化実験から対照群の無いビフォー・アフター比較に変更しても、倫理的懸念を減らす有意な効果が見られなかった。しかし、インフォームド・コンセントが十分でない場合や、被験者を無作為にサンプリングした場合には、倫理的な懸念が有意に増加することがわかった。これらの知見は、実験参加に同意を得られた被験者を対象としたランダム化実験の倫理的妥当性を支持するものである。しかし、これはその一方で、実験の外的妥当性を下げうる。
キーワード:倫理的問題,フィールド実験,オンライン調査,無作為化比較試験
scroll