No.5 How Altruism Works during a Pandemic: Examining the Roles of Financial Support and Degrees of Individual Altruism on International Remittance
JICA緒方研究所について
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世界的に国際送金の重要性は認識されているが、公的扶助や個人の利他性が送金行動にもたらす影響への理解は十分ではない。COVID-19による世界的なパンデミックの初期段階では、国際送金が激減すると予測されていたが、実際の送金額の減少幅は予想よりもはるかに小さいものであった。その理由として、移民労働者の利他的動機や先進国の景気刺激策などが挙げられるが、ミクロな視点からの詳細な調査は不足しており、さらなる研究が必要である。本研究では、日本において介護業界で働く外国人労働者を対象にオンライン調査を実施し、パンデミック下での外国人労働者の送金行動を検証した。パネルデータによる推計の結果、受入国での緊急現金給付は移住者の送金額に正の影響を与える一方、母国政府からの補助金によるクラウディングアウト効果は観察されなかった。また、異質性分析により、利他性の高い送金者は、受入国で現金給付を受けた後に母国により多く送金する可能性が高いことが明らかになった。本論文による分析結果は、パンデミック時の国際送金のレジリエンスは人々の利他性と受入国における財政支援によって支えられたという国際機関の主張を支持するものである。
キーワード:国際送金、利他性、日本、COVID-19、現金給付
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