No.1 機械産業におけるフラグメンテーションの進展と貿易コスト削減への政策的課題
JICA緒方研究所について
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近年における新興国の貿易主導型成長は、繊維・衣服等の軽工業から機械部門等へと高度化しているが、その実態は、機械産業全体の生産設備移転というより、最も労働集約的な組み立て工程等のみが移転する形態となっている。このように製造工程全体を細分化し、国境を越えて配置再編を進めることで全体としての生産コスト最小化を達成する戦略は「フラグメンテーション」と呼ばれるが、この戦略を進める上では広義の貿易コスト——物理的な輸送インフラのみならず、インフラの運営、関税、ビジネス環境等を含む——の削減の重要性が指摘される。本稿では、特にフラグメンテーションが進む機械三業種(一般機械、電気機械、自動車・部品)に焦点を当てて、その貿易フローの規定要因を特定することで、今後の新興国の成長を促す上での政策的含意を導き出すことを目的としている。
キーワード:フラグメンテーション、貿易コスト、重力モデル、機械貿易、中間財貿易
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