No. 8 Competition of Foreign Military Bases and the Survival Strategies of Djibouti
JICA緒方研究所について
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ジブチはアフリカ東部のいわゆる「アフリカの角」地域に位置し、紅海の南の入り口であるバブ・エル・マンデブ海峡の西岸にある小国である。地政学的に重要な位置を占め、米国、フランス、日本、中国、イタリアの5 か国がジブチに軍事基地(日本の場合は自衛隊拠点)を置いている。本稿では、外国の軍事基地誘致はジブチの現政権及び一般大衆それぞれにとって、合理的な選択であるか否かを検討する。
本稿ではまず、ジブチに海軍基地開発をした、あるいはしようとしている国々の意図を検討する。次にホスト国であるジブチ自身の外交戦略について議論し、続いて、外国の軍事基地を誘致する戦略は国家の存続にとって有利か不利か、それぞれの要因を分析する。この分析を通じ、筆者はジブチの軍事基地誘致戦略は確かに国の経済発展を促進してきたが、一般大衆への分配メカニズムは国の経済発展とは別に考慮する必要がある、と主張する。ジブチでは現政権の権力が強化された一方で、国民、特に貧困層が感じられる恩恵は小さい。
紅海沿岸では軍港開発競争が激化しており、沿岸の国々は最も良い条件をもたらす国に軍港開発の権利を与えようと画策している。ジブチは既に多数の軍事基地を誘致しており、それを梃子に資金や投資を呼び込み、国の経済発展を促進した先例である。したがって本稿の分析は、紅海沿岸諸国の今後の戦略を検討するうえでも参考になると考えられる。
キーワード: 海の覇権争い、紅海、外国の軍事基地誘致、国家の生存戦略、小国の外交、新家産主義国家、ジブチ
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