No.2 日本の留学生受入れへのCOVID-19の影響と今後の課題
JICA緒方研究所について
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は人々の生活のすべての局面に影響を及ぼしている。本レポートは、留学生移動の最近の傾向と変化の背景要因を明らかにすることによって、日本の留学生事業へのCOVID-19の影響を分析することを目的としている。
まず、日本における外国人留学生の受入れ状況を国際的な留学生動向に照らして理解するために、国際的な機関や各国の調査報告や統計資料を分析した。さらに、日本における変化の要因を明らかにするために、日本の大学で国際事業を担当する4名の大学教職員とCOVID-19下に日本の大学で学ぶ7人の外国人留学生にインタビューを実施した。これらの分析から、日本では短期の交流型の留学生受入れよりも学位取得を目的とした留学生の受入れが多いために、日本の大学の留学生数の減少は他の主要な留学生受入れ国に比べて小さいものにとどまっていることがわかった。さらに、学位取得型の留学生は、渡日しての“留学経験”そのものよりも、安全な就学環境や学位の取得をより重視していることも明らかになった。
大学が今後国際的なプログラムにおいてオンライン教育のさまざまな方法や目的を検討する際には、こうした留学の価値についての学生の考えを踏まえる必要がある。ポスト・コロナの大学国際化戦略の検討に際してオンライン教育は重要な論点のひとつになっているが、本レポートのファインディングは、留学生受入れにおけるオンライン教育の今後のあり方に重要な示唆を与えるものである。
本レポート執筆後から約3年分(2024年2月まで)の進捗状況を取りまとめた「追補:日本の留学生受入れへの COVID-19 の影響」が以下のリンクからダウンロードできます。ご活用ください。
キーワード: 留学、COVID-19、日本、オンラインラーニング
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