No.6 Strengthening Climate Resilience Through Farmer Field School Practices in Oromia, Ethiopia
JICA緒方研究所について
JICA緒方研究所について
エチオピア農村部では、旱魃などの異常気象により、小規模農家が凶作や家畜死亡という被害に直面している。気候変動に対応し得る農業普及手法としてFarmer Field School(FFS)がある。本稿では、オロミア州農業・天然資源局と国際協力機構(JICA)が実施したFFSプロジェクトを取上げ、気候変動に対する集落のレジリエンス強化という観点から見たFFSの有効性と、更なるレジリエンス強化のための在り方を検討する。
本FFSプロジェクトは二点において農家のレジリエンス強化に貢献した。一つは、収入源の多様化、栄養源の多様化、土壌侵食の低減が実現した点である。もう一つは、人々の態度や行動が変容した点である。後者については、例えば、農家が課題解決のため自ら新しい活動に取り組み始めた、新しいビジネスを興した、近隣農家への助言を行い始めた、などの行動が観察されている。
FFS参加農家のレジリエンス強化が確認された一方で、それが気候変動に十分対応し得る水準なのか、という点は明らかではない。これについては、FFSカリキュラムに、気候変動による攪乱と影響に関わる情報を用いたシミュレーション活動を採用することで対応できる。旱魃など気候変動による攪乱の深刻さを具体的に想定することで、農家などの関係者は起こり得る事態を認識し、対応について検討できる。
FFSは、農家が外部ステークホルダーとネットワークを持つこと、また、集落課題の解決に向けた農家連携にも取組むべきである。集落内での農家連携は、自然資源や生態系の維持に重要であり、地域における社会・生態システムの強化に結びつく。
キーワード:天水農業、気候変動による攪乱、システムレベルの介入、農家の積極参加、気候情報とシミュレーション活動
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