Lessons for Strengthening a Resilient Health System from the View of Health Facilities During the COVID-19 Pandemic: A Qualitative Study
JICA緒方研究所について
JICA緒方研究所について
2019年に発生した新型コロナウイルス感染症は、世界中の人々の健康状態と医療システムに甚大な被害をもたらしました。JICA緒方研究所の先行研究では、ウガンダ政府による厳格な公衆衛生的・社会的対策(Public Health and Social measures: PHSMs)とエンテベ州病院(Entebbe Regional Referral Hospital: ERRH)の閉鎖によって、エンテベ市の住民が医療を受けられなくなる事態に直面したことが判明しました。しかし、こうした対応措置が地域の医療システムに与えた影響についての研究は限られています。本研究は、エンテベ市内の医療施設の観点から、これらの措置が地域医療サービスの提供に及ぼした影響を調査することを目的としています。
テーマ別フレームワークによる手法を用いました。これは、(1)医療サービスの提供、(2)医療製品と技術、(3)医療従事者、(4)公衆衛生機能、(5)ガバナンスと資金調達という5つの要素で構成される医療システムのレジリエンスフレームワークに基づいたものです。2022年9~10月にかけて、4つの私立病院と4つの保健センターの施設運営責任者かつ医療従事者である8人を情報提供者として、インタビューを実施しました。
15 のテーマと 25 のサブテーマが特定されました。ERRHの閉鎖と厳格な PHSMsにより、必要な医療サービスを利用する上で、住民はさまざまな困難に直面しました。医療施設には大勢の患者が殺到し、医薬品や医療従事者、施設の収容能力の不足のほか、患者の移送手段の欠如など、さまざまな問題が生じました。そうした状況下でも、医療施設は必要なサービスの維持に努めました。さらに、地区の衛生局から地域保健ボランティアまで、柔軟なネットワークを通じて垂直的および水平的に関係者を動員することで、医薬品の供給、患者と医療従事者の両方の移動、効果的な患者の追跡といった業務に連携してあたりました。
本研究は、強靭な医療システムを強化するには、公衆衛生と医療サービス提供の総合的なシステム、垂直的連携の仕組みの確立、公的健康保険の導入が重要であることを示しています。これらの分析は、サブサハラ地域の他の都市における医療システムのレジリエンス向上にも寄与すると考えられます。
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