The Gendered Impact of Urban Piped Water Development: Evidence from Mandalay, Myanmar
JICA緒方研究所について
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都市人口の急増により、水の需要は大きく増加しています。多くの低中所得国では、特に貧困世帯の都市住民が頻繁に水不足の危険にさらされています。しかし、農村部の水資源開発については多数の文献があるのに対し、都市部での給水の影響に関する研究は不足しています。本研究は、ミャンマーのマンダレー市に都市配管給水システムを導入したことにより、地域住民のウェルビーイング向上にどのような短期的な影響が生じたかを調査したものです。
準実験的な環境で収集したデータセットを使用し、差分の差分法による検証を行いました。その結果、次のようなことが分かりました。市内の対象地域に配管給水施設が新設されたことにより、男女を問わず、労働年齢の成人にとって私設井戸から水を汲み上げる負担が大幅に軽減されました。新しい給水システムが利用できる前は安全でない水を利用していた女性の場合、下痢の発生率が大幅に減少したことが分かりました。子どもと青少年の就学、家事労働、自営業、労働年齢である成人の賃金労働においては、大きな影響は認められませんでした。一方、私設井戸から水を汲み上げる負担が軽減されたことで、女性の一時雇用での就労が促され、世帯収入と消費が増加しました。これは特に、プロジェクト以前に安全でない水を利用していた女性に当てはまります。結論として、ウェルビーイングの向上は、性別とプロジェクト実施以前の水質に応じて異なり、同じ都市部でも影響は不均一だったと言えます。
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