グローバルなインフラ需要推計再考
JICA緒方研究所について
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インフラは、経済活動や人々の福祉の向上に欠かせません。本稿は、グローバルなインフラ需要推計の方法論をレビューし、新たな推計の在り方を考察しています。レビューにより明らかとなった課題に対して、本稿では、従来推計に含まれなかった既存施設の改良と日常的維持管理の費用を取り込み、また国によるインフラの単価と品質の違いを推計に反映させるアプローチを提示しています。
電力と道路について、中国とASEAN 5ヵ国を対象に将来推計を行った結果、前者(改良、維持の計上)は推計額への追加となる一方、後者(単価、品質の違いの反映)は推計額を小さくする方向に働くことが分かりました。両者は相殺しあうものの、本稿の方法論による電力需要の推計額は、従来の手法によるものよりも1.3~1.4倍の大きさとなります。この結果は、開発途上国が公共支出にかかる財政を運営していく上で、既存施設の維持費用により大きな注意を払う必要があることを示唆しています。
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