The impact of computer science education in primary schools: Evidence from a randomized controlled trial in Iraq
JICA緒方研究所について
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社会のデジタル化が進む中で、現代の日常生活に欠かせないスキルとして、プログラミング的思考の向上が求められています。そのため、幼少期からのコンピューターサイエンス教育の重要性が高まっています。
本研究では、イラクのバスラ市の小学生を対象に、教育用ロボットとコンピュータ支援型数学ドリル(「数学アプリ」を利用)を用いた介入が学力にどのような影響を与えるか、ランダム化比較試験を通じて検証しました。
その結果、複数の新たな実証的結果が得られました。第一に、ロボティクスを活用した学習がプログラミング的思考に与える短期的な影響については、女子(特に成績が低めの女子)に統計的に有意な向上が見られた一方で、男子にはそうした影響は見られませんでした。第二に、数学アプリの導入によりプログラミング的思考の改善効果がさらに高まりました。これら2つの介入は、総合的な知能の向上にも寄与する結果となりました。第三に、コンピューターサイエンスと数学の両方の教育を受けた女子においては、介入から3ヵ月以上経過した後もその効果が持続しており、両者の教育内容が相互に補完し合う可能性があることが示唆されます。
本研究の結果は、小学校における教育用ロボットを活用したコンピューターサイエンス教育が、プログラミング的思考および関連スキルの向上に有効であることを示しています。
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