Role of Social Capital in International Volunteering:Evidence From Japan Overseas Cooperation Volunteers
JICA緒方研究所について
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本研究は、JICA海外ボランティア1,330人が派遣前・中・後に回答した意識調査のパネルデータを用い、国際ボランティアが活動中に形成・増進する3種類の社会関係資本(Social Capital: SC)―結束型(Bonding)、橋渡し型(Bridging)、連結型(Linking)―とボランティア成果との関連を定量分析しました。その目的は、派遣する組織や政策立案者がボランティアのネットワーク形成を支援し、地域開発への影響を最大化するための実証的基盤を提供することです。
分析の結果、結束型(Bonding)SCが活動成果において中心的役割を果たすことが示され、派遣先の同僚や上司からの支援に基づく関係構築・増進が、受け入れ組織の能力開発(スキル向上、現地スタッフの業務態度の変容、地域コミュニティーへのサービス拡充など)と正の関連を持つことが確認されました。
一方、橋渡し型(Bridging) SCと連結型(Linking) SCには長期的な影響が認められ、初年度に形成された現地住民とのネットワークは新規サービス開発に、JICA現地事務所からの支援は現地スタッフの業務態度の向上や資源拡大に正の影響を与えていました。これらは、地域資源を生かした開発活動には、少なくとも1年の長期的関与が不可欠であることを示唆しています。
政策提言として、派遣組織による初期支援の充実(受け入れ組織との関係構築支援など)や地域住民との長期的ネットワーク形成の促進が必要とされています。
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