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国際人的資源管理分野における「『組織の仕事の仕方』の移転」研究活用のすすめ

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JICAが実施する技術協力は、我が国が有する知識や経験そして技術の移転を通じて、開発途上国の開発を支援することを目的とします。技術移転はこの技術協力の根底にあると言えますが、開発協力分野では十分に研究されているとは言えません。一方で国際ビジネス研究、特に国際人的資源管理では、急速にグローバル化するビジネス環境への対応のため、多国籍企業本社から海外子会社への「組織の仕事の仕方」の移転を扱う実証的研究が膨大にあります。

ここで言う「組織の仕事の仕方」とは、「ある組織が、過去の経験、メンバーの関心、周囲の状況などの影響を受けつつ、時間とともに進化させてきた仕事のやり方」です。この「『組織の仕事の仕方』の移転」は、技術協力における「技術移転」と共通する点が多くあります。また、国際人的資源管理研究の多くは、先進国にある多国籍企業本社から開発途上国の海外子会社への移転を扱っており、開発協力の研究者や実務者にとって有益な知識が満載です。

そこで本論文は、日本国内で開発協力に係る技術移転の研究がどの程度なされているのかをレビューしつつ、国際人的資源管理分野での「『組織の仕事の仕方』の移転」研究の中で、特に開発協力の実務および研究で有益な議論を紹介し、これらの開発協力分野での活用を推奨します。本論文で扱う有益な議論とは、(1)制度・方針は容易に移転するが実践は容易には移転しない、(2)マニュアル化すれば形は移転できる、(3)形は移転できても根底にある意味は移転されない、(4)形だけの移転も無意味ではない、です。

本論文は、JICA緒方貞子平和開発研究所の「二国間開発協力機関の在外事務所による重複する制度的環境への対応に関する研究」の一環で、2022年6月に国際開発学会誌『国際開発研究』に掲載されました。論文は以下のリンクからご覧になれます。

著者
伏見 勝利
発行年月
2022年6月
言語
日本語
ページ
17ページ
研究領域
開発協力戦略
研究プロジェクト