No.205 The Variety of People in Refugee Settlements, Gender and GBV: The Case of South Sudanese Refugees in Northern Uganda

  • #ワーキングペーパー

本ワーキングペーパーは、ウガンダの難民居住区における人々の生活の一端を示すものである。特に南スーダン出身の一民族、クク人と、居住区におけるジェンダーに基づく暴力(GBV)プログラムに焦点を当てる。

南スーダン、ウガンダにおけるジェンダーとGBVについて調査してきた研究者たちは、人々のジェンダーに対する考え方や、ジェンダーに基づく家庭内や共同体内での役割が難民居住区での生活を経たことによって変化したことを描いてきた。しかし支援者の多様性とそうした多様性がいかに難民のジェンダーへの視線に影響するのかについては描き切れていなかった。本ワーキングペーパーは難民居住区内に難民—支援者に二分されない様々な人々がおり、そうした多様性がいかに難民—支援者関係を創り出していくのかを描きだし、それがいかに難民のジェンダーやGBVに対する考え方に影響してきたのかについて考える。

アジュマニ県はウガンダ北部に位置し、2017年現在で18の難民居住区があった。各難民居住区ではNGOが活動しており、NGOは難民をインセンティブ・ワーカーとして雇用していた。インセンティブ・ワーカーたちは難民とNGOスタッフの間を取り持つ。難民や、国際機関、NGOスタッフ、インセンティブ・ワーカー、そして難民を受け入れるウガンダの人びととの間で様々な関係性が創り出されている。こうした関係性は難民と支援者との境界線をあいまいにし、ジェンダーやGBVに対する理解の仕方に変化をもたらす。しかしその一方で、難民たちは支援者が立ち入らない社会的空間も持つ。

本ワーキングペーパーは、難民と支援者がジェンダーやGBVに対し、同じ定義を共有していると同時に、そうした定義が使われることがない難民独自の社会的空間も持つことを示す。それが支援の「届かない」場所である。

キーワード:ジェンダー、ジェンダーに基づく暴力、南スーダン、ウガンダ、支援、難民、クク人

著者
飛内 悠子
発行年月
2020年3月
関連地域
  • #アフリカ
開発課題
  • #平和構築
  • #ジェンダーと開発
研究領域
平和構築と人道支援
研究プロジェクト