No.5 State-building in Fragile Situations: Japanese Aid Experiences in Cambodia, Afghanistan, and Mindanao
JICA緒方研究所について
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脆弱な環境における国家建設と紛争予防が、近年の国際社会で注目を集めている。本ワーキング・ペーパーは、カンボジア、アフガニスタン及びミンダナオの3事例を日本による援助の経験を通して分析することで、武力紛争後の国家建設に関する議論に貢献しようとするものである。3つの事例研究は、国家建設の過程を、(1)統治機構のキャパシティ強化、(2)コミュニティや社会グループのエンパワーメント、(3)国家と社会の相互作用を通しての国家の正統性強化、という相互に関連する3つの側面から分析している。国家建設が成功裏に進むには、これら3つの側面での前進が必要である。カンボジアでは統治機構のキャパシティ強化が先行して進んだ結果、政治は安定し、社会的なサービス提供は改善しているが、社会のエンパワーメントが遅れているため、政治腐敗の問題や不利な立場にある人々の人権侵害が問題になっている。それに対して、アフガニスタンとミンダナオでは、長期的な戦乱と混乱によって、国家と社会の脆弱性がともに深刻化しており、底辺での社会的エンパワーメントを、地方公共組織や中央政府機構の強化にも結びつけるアプローチが必要とされている。ただしミンダナオの場合は、統治機構が中央政府とミンダナオ自治政府に分裂しているために、事態はいっそう複雑である。
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