実施中プロジェクト
本プロジェクトは、2028年にJICA緒方貞子平和開発研究所が創設20周年を迎えることを記念して実施する研究プロジェクトです。
人間の安全保障は、1994年の国連開発計画(United Nations Development Programme: UNDP)の提唱以来、紛争、貧困、感染症、気候変動など、人びとの命・生活・尊厳を脅かす課題に対応する重要な概念として発展してきました。これまでにも人間の安全保障に関する包括的な参考図書は刊行されていますが、近年の地球規模課題の変化を十分に反映し、開発途上国の視点や学際的・実践的知見を統合した体系的な参照資料は十分に整備されていません。そのため、気候危機、パンデミック、デジタル技術の急速な進展などの新たな課題を踏まえ、人間の安全保障の理論と実践を体系的に再整理することが求められています。
本研究プロジェクトでは、過去の人間の安全保障における研究蓄積を踏まえ、その理論と実践を総合的に整理する国際的なハンドブック(Major Reference Work:主要参考図書)を編纂し、英文書籍として発刊します。特に、①人びとの「生きられた現実」から出発する人間中心の視点、②開発途上国の経験や知見の積極的な反映、③社会科学・人文学・自然科学を横断する学際的アプローチ、④豊富な事例研究を通じた理論と実践の接続を特長とします。世界が分断と暴力的な破断の時代を迎える中、平和、繁栄、尊厳、公正が行き渡る地球社会を実現するためのグローバルな規範として、人間の安全保障研究の新たなフロンティアを示すことを目指します。
本ハンドブックは、研究者や学生のための学術的基盤となるだけでなく、国際機関、政府・行政官、開発援助機関、市民社会組織、起業家や企業などの実務者にとっても有用な参照資料となります。人間の安全保障の視点を政策形成、国際協力、平和構築、気候変動対応などの実践へ結び付ける知的基盤として、国内外での幅広い活用が期待されます。
ハンドブックの編者:
Mely Caballero-Anthony(南洋理工大学 国際関係学 教授・国際連携担当副学部長、シンガポール)
Scarlett Cornelissen(ステレンボッシュ大学 政治学部 教授、南アフリカ)
Oscar Gomez(立命館アジア太平洋大学 アジア太平洋学部 教授、日本)
峯 陽一(JICA緒方貞子平和開発研究所 所長、日本)
Shahrbanou Tadjbakhsh(パリ政治学院 国際関係大学院 教授、フランス)