「地域有識者懇談会」(第8回会合)開催概要

1.日時

2022年10月25日(火)14:00~16:00

2.場所

JICA北海道センター(帯広)会議室

3.出席者

  • 有識者:池原佳一委員(帯広市 副市長)、川田章博委員(帯広商工会議所 会頭)、長澤秀行委員(国立大学法人北海道国立大学機構 大学総括理事(帯広畜産大学学長))(五十音順)(注)有塚利宣委員(帯広市川西農業協同組合 代表理事組合長)はご欠席
  • 同行者:加藤帝氏(帯広市経済部観光交流室 室長 兼 観光交流課 課長)、山中雅生氏(帯広市経済部観光交流室長観光交流課 課長補佐 兼 森の交流館・十勝 館長)、大橋朋広氏(国立大学法人北海道国立大学機構帯広畜産大学 国際・地域連携課 課長補佐)
  • JICA:井本佐智子(理事)、日浅美和(国内事業部 市民参加推進課 課長)、石丸卓(北海道センター 所長)、木全洋一郎(北海道センター(帯広)代表)、谷口光太郎(北海道センター(帯広)副代表)、松本太樹(JICA北海道センター(帯広)職員)

4.議事概要

冒頭、JICAを取り巻く国際協力の潮流とJICA北海道(帯広)の2021年度の事業実績、2022年度の計画・現状についてJICAから報告した後、意見交換を実施した。有識者からは、日本と途上国の相互交流を前提とした「グローカル人材」育成の重要性、JICAの強みを生かした「高度人材」に重点を置いた外国人材支援の戦略化、セクター単体ではなく社会との関係の中で鳥瞰してとらえた(例:農業と福祉・社会生活との関係)産官学金アクター連携による協力の必要性といった貴重な意見が出された。

(1)日本と途上国の相互交流を前提とした「グローカル人材」育成の重要性

(有識者)

  • センターのSDGsの展示は、グローバルな視点で日本がどういう状況に置かれているかということを認識させ、「グローカル」な人材を育成するという観点からも重要。「おびひろ市民学」でのJICAによるSDGsについての講義のほか、教員ではない外部人材による教育は、子供にとっても刺激的で心に残りやすく、大人になり社会に出た時に、帯広を見つめ直すきっかけになるだろう。途上国との関係性については、一方通行ではなく双方向の交流により、お互いにWin-Winな関係を構築することが重要。

(JICA)

  • センター訪問や教員を介したアプローチ、出前講座のほか最近ではオンラインを活用した日本と途上国の子供同士の交流等、JICA国内機関としても様々な手法を用いながら開発教育支援に力を入れている。学校の先生方も非常にお忙しく継続的・体系的に続けていくのは容易ではないが、発想が柔軟な子供のうちに様々なことに触れ、視野を広げていってもらえるよう活動を続けていきたい。特に北海道は精力的な先生方同士のつながりもあり、学校内外の関係者ネットワークを広げながら取り組んでいきたい。

(2)JICAの強みを生かした「高度人材」に重点を置いた外国人材支援の戦略化

(有識者)

  • 外国人材にかかるJICAの支援対象は来日の動機付けが明瞭であり、JICAが長年支援した歴史のある高度人材に重点をおくべきではないか。日本に就職したいという大学レベル以上の高度人材も多い中で、帯広をはじめ各地のJICA国内センターのリソースと途上国のニーズをマッチングさせながら、日本への還元も考慮した研修員選びからテーマ設定まで戦略的にアプローチすることで、より内容を深化した効果の高い研修ができる。

(JICA)

  • 外国人材については、日本のいい点も悪い点どちらも見ていただいた上で、日本を信頼できるパートナーとして認めていただけるような関係が重要であると考えている。そのためにも途上国のニーズと我々が提供できるリソースを把握した上で、限られた資源の選択と集中と、既存の枠を飛び出た新しい取り組みをバランスよく実施できる組織であるべきと考えている。国内拠点が感じる日本国内の肌感覚はJICAの強みだと考えており、いただいたご意見を参考にしながらブラッシュアップしていきたい。

(3)産官学金アクター連携による協力の必要性

(有識者)

  • 研修事業や技術協力事業も、課題はもう少し広くとらえた方が良い。例えば、農業・畜産振興だけではなく、農業が社会に与える影響として、福祉や生活との関連性も幅広に盛り込んだ研修ができると良い。受入側としても大学のみならず、産官学金が連携して内容を充実させていく必要がある。農業だけとっても、デジタルトランスフォーメーション(DX)や地球環境への影響等複雑化しており、そういったテーマを盛り込みつつ途上国と日本の学び合いの関係を構築することが双方にとってメリットになる。

(JICA)

  • JICAはセクター割で事業運営を行っているため限られた視野となりがちだが、より広い視野から課題を鳥瞰したうえで、融合領域も視野に多様な連携関係を構築することが肝要。