【インタビュー】JICA海外協力隊:千葉加奈子さん 南の島で環境教育!

2017年度3次隊としてJICA海外協力隊に着任した千葉加奈子さん。2018年1月から2020年1月まで、オセアニア地域の南国・フィジー共和国にて、ゴミ問題解決のため奮闘しました。現地での活動やエピソードについてのインタビュー、及びホラン千秋さんとのコラボ動画「JICA海外協力隊から学ぶ途上国の課題」をご紹介します。

2020年9月9日

Q.フィジーとはどんな国ですか?

フィジーの国旗

フィジー共和国は、南太平洋に浮かぶ300以上の島からなる島嶼国家です。国際空港のあるナンディがあるビチレブ島、バヌアレブ島、タベウニ島がメインの大きな島で、西部に1島1リゾートのママヌザ諸島やヤサワ諸島があります。そして広大な海域に、小さな島々が点在しています。フィジーは太平洋島嶼国の中では2番目に大きな人口を持ち、地理的に太平洋島嶼国の中心に位置していることから、地域の中心的な役割を担っています。豊かな自然と、メラネシア、ポリネシア、インドの文化が織りなす独特の魅力を持つ国です。時刻は日本より3時間早く、年間平均気温は25℃と穏やかで、年間を通じて暑いイメージがありますが、南半球が冬となる7月、8月は20 ℃ を下回り18 ℃ まで下がることも珍しくありません。

Q.フィジーでの活動について教えてください。

町のごみ拾いイベントでのオープニングスピーチ

首都からバスで一時間ほどの場所にあるナウソリという町の役場で活動をしていました。私の配属された保健課というところは害虫対策や住民からの苦情対応を行っているところなのですが、ゴミの不法投棄など、急激な人口の増加に伴い深刻になってきている様々な問題に対して住民の意識を向上させるための活動をしていました。具体的には、町内の学校を対象に環境啓発のためのプログラムの実践を先生たちにお願いして回ったり、住民集会で身近な環境問題について知ってもらうためにクイズや遊びを交えながらのワークショップを行ったりしました。気候変動や海洋汚染などが自分たちにどのようにして関わりがあるのか、日々の生活の中でどのような行動をとれば改善につながり、また自分たちにとってどのようなメリットがあるのかを伝えるように意識していました。

Q.活動中に印象に残ったエピソードがあれば教えてください。

地域住民にコンポストの作り方を教えているところ

活動を始めた一年目は、同僚にも地域の人にも何を言っても相手にされていないことが多かったです。よく考えれば当たり前のことで何も事情を知らない日本人が突然やってきて、もっとあれをこうしたほうがいい、そのやり方は間違っている!なんて指摘されたら不愉快ですよね。それに気づいてからは直接仕事に関係ない事でも自分に出来ることならなんでもやって、少しでも周りの信頼を経て人脈を広げるようにしてきました。その甲斐あってか二年目になってから、私の活動を耳にして役場を訪ねてくれる人がちらほら出てきてくれて、地域内に自主的に環境啓発活動をやりたいと思っている人がいることが分かり非常にうれしかったのを覚えています。

Q.活動の経験を今後どのように生かされますか。

フィジー固有種のセミについて学んでいるところ

協力隊で得ることのできる経験は、私の場合はこれまで“協力隊”以前のベースがあったからこそ得られた経験が多いです。フィジーにおいての仕事のやり方も前職と共通する部分がたくさんあったり(全く違う部分があったりもしましたが)食生活や宗教観など異文化理解の面においてはこれまで読んできた本や勉強したことがベースとなり実際に目で見て体感することで、より理解が深まった気がします。自分とは異なる価値観があることを受け入れるということは、言葉でいうと簡単だけれども、実践するのは難しいということが分かったことが一番の経験だと思っています。この経験を、よりよい社会の実現に向けて活かしていきたいとは思っていますが、特別な資格やスキルを持っているわけではないので、具体的な活かし方は正直まだ見いだせていないですね。

Q.北海道には最近移住されたとのこと。北海道の印象や、今後挑戦したいことなどあれば教えてください。

記念植樹を子どもたちと一緒に行っているところ

北海道は大きすぎてまだ私が語れることなんてこれっぽっちもないのですが、私が住んでいる十勝に関しては、牧場や畑がとにかく多い。水田がほとんどなく麦やジャガイモの耕作面積が広く本州では見慣れない光景ばかりですし、気候も動植物の生態も全然違うので毎日新しい発見があります。フィジーという南国から帰国して間もなく雪国の北海道に移住してきたので自分でもびっくりの大移動ですが、協力隊経験のおかげで、新たな土地で生活するということにさほど抵抗はないので少しずつ人脈や行動範囲を広げていきたいですね。環境教育と今は離れていますが、日本でも子供たちの自然体験活動の需要が最近ますます増えていると感じるので、何か出来ることがあればやりたいと思っています。

Q.最後に、読者のみなさまへメッセージをお願いします!

今自分が置かれている状況に感謝すること、自分が恵まれているならば人に優しくすること。私がフィジーにいるときに周りのフィジー人が口を揃えてそう言っていました。良いことを言う一方で約束を守らなかったり、物を盗んだりするので混乱の毎日でした。結局周りは変えられないかもしれないけれど、自分が変わることは出来ます。何事もチャレンジしなければ始まらないと思います。チャレンジする人を私は応援しています!



★★南の島の楽園でもポイ捨て問題が!フィジーの若者の意識を変えれば国も変えられる!★★

JICA北海道(帯広)でのインタビューの様子は、動画でもご覧いただけます。動画にはホラン千秋さんも出演し、私たちの日々の生活でもすぐに実践できる身近な国際協力を提案しています。ぜひご覧ください。
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