【草の根技術協力事業】帯広畜産大学×マケレレ大学(ウガンダ)の連携によるマダニ媒介感染症対策プロジェクトを実施中!

2023年4月7日

ウガンダにて帰国研修員によるセミナーを行いました

セミナーの様子

搾った牛乳を集乳所まで運搬する農家

草の根技術協力事業「マダニとマダニ媒介感染症制御による畜産農家支援プログラム」の活動の一環として、2023年2月28日(火)~3月2日(木)にかけて、農家向けのセミナーを実施しました。

ウガンダの北東部から南西部にかけての一帯は牛回廊(Cattle Corridor)と呼ばれており、ここでは畜産業が住民の生活を支えています。しかし、同地域の畜産農家は今、吸血マダニが媒介する牛の感染症に苦しめられています。
マダニ駆除には殺ダニ剤の散布が有効ですが、容量・用法を超えた乱用による薬剤耐性マダニの出現、作物用の農薬使用による牛の失明、農家自身への健康被害が懸念されています。

この状況に対し、ウガンダで唯一獣医学部も持つマケレレ大学と、帯広畜産大学の原虫病研究センターは、2020年より草の根技術協力「マダニとマダニ媒介感染症制御による畜産農家支援プログラム」を開始。
農家に対する正しいマダニ対策の指導と、感染症予防に置いて重要な役割を担う地域の獣医師の能力強化を通じて、マダニ媒介感染症の低減に取り組んでいます。

今回実施したセミナーには農家のほか、将来農家へのマダニ対策指導を行う地方獣医師、地域の有力者等も参加しました。セミナーでは、牛の体のどの部位にマダニが付きやすいか、農薬を使うと人体にどのような影響があるのかなど、科学的なデータや、プロジェクトで撮影した写真を用いながらわかりやすく説明するとともに、プロジェクトの指導に従って実際にマダニ寄生の抑制に成功した農家も発表を行い、農家同士のネットワークづくりと、マダニ対策に取り組むモチベーションの向上にもつながっています。
当初はプロジェクトへの参加に慎重な農家もいましたが、丁寧な説明と継続的な訪問活動の結果、現在は多くの農家がプロジェクトに賛同しており、セミナーの最後には農家からの感謝の声が多く寄せられました。

2024年4月のプロジェクト終了に向け、引き続き地方獣医の能力強化と農家への啓発活動に取り組んでいきます!