【JICA開発大学院連携】長期研修員がオホーツク地域の産業・歴史を学ぶ「地域理解プログラム」に参加しました

2023年6月13日

JICAでは、開発途上国で将来の国の発展を担うリーダーとなる行政官・技官らを長期研修員(留学生)として日本に受け入れ、技術・知識の習得や大学院での学位取得を支援する傍ら、日本の地域が発展するまでに辿った歴史・経験も学んでもらい、日本理解の促進や自国の発展に役立ててもらう「地域理解プログラム」を提供しています。
このたび北海道センター(帯広)では、5月13日(土)、14日(日)の2日間にわたり、帯広畜産大学、北見工業大学、北海道大学で学ぶ長期研修員31名を対象に、オホーツク地域の北見市・網走市において、北海道の発展に関わる歴史や資源、文化、産業を学ぶプログラムを実施しました。

オホーツク地域の歴史・文化に触れる

北見ハッカ記念館見学の様子

北方民族博物館での施設概要説明

流氷漂着のしくみに熱心に耳を傾ける研修員

参加者全員で記念撮影

【北見ハッカ記念館・薄荷蒸留館見学】
ハッカ油精製に使用される設備の展示を見学し、北見市で生産される和ハッカの特徴に加え、全盛期には世界のハッカ市場の70%を占めた北見ハッカ産業の歴史等の説明をいただきました。
その後、北見ハッカを使用したハンドクリームづくりを体験し、好みのアロマオイルとの調合や和ハッカの香り、オイルが乳化する様子など、研修員は地場産品に対し非常に興味をもって学びを深める様子がうかがえました。

【北方民族博物館見学】
東はグリーンランドのイヌイット から西はスカンディナビアのサミまで、幅広く北方の諸民族の文化と北海道のオホーツク文化を紹介する、網走市の北方民族博物館の展示を見学しました。北海道の先住民族であるアイヌの文化を始め、北方圏での文化、歴史、暮らしについて知見を深める機会となりました。 

【オホーツク流氷館見学】
オホーツクに漂着する流氷の海中映像を視聴し、世界で最も南に位置する流氷観測地となったメカニズムの説明をいただきました。氷点下20度に迫る極寒体験室や、網走市街とオホーツク海、網走湖、知床連山を一望できる屋上の展望テラスなど、壮大な景色を研修員は思い思いに楽しんでいました。

【博物館網走監獄見学】
博物館網走監獄は、現存する木造行刑建築物として日本最古であり、展示施設として本物の刑務所を見学出来る国内唯一の施設です。東京ドーム約3.5個分に相当する広大な敷地には、国の重要文化財、登録有形文化財を含む歴史的建造物25棟が保存公開されており、研修員はそれぞれのペースで見学しました。
北海道の開拓期、囚人を労働力とした中央道路(札幌-旭川-北見-網走)開削工事が行われ、多数の囚人が命を落とした壮絶な開拓の歴史を綴る展示の数々を、研修員は興味深く見学していました。

参加者からは、「自国の地場産品促進、観光客を惹きつける観光振興のヒントともなり得た」「北方民族が多様な生存手段を開発してきた歴史は、後世の人々にとって非常に有益な文化である」という声が聞かれました。プログラム中は、研修員は積極的に質問し、お互いの国の文化についても活発に意見交換する様子も見られました。

帰国後、本プログラムや留学中に得た学びを糧に、知日派・親日派のリーダーとして自国の発展に寄与してくれることを願っています。