「世界の人びとのためのJICA基金」活用事業報告会(第1回)開催報告

2016年4月21日

JICAでは、「世界の人びとのためのJICA基金」(JICA基金)において個人・法人より寄附を募り、皆様からお預かりした寄附金を財源に、1案件100万円の予算にて、途上国の人びとに直接届く支援を実施するNGO団体(およびネットワーク団体)の活動を支援しています。このたび、4月8日、ご寄附をお寄せいただいている皆様へJICA基金の活用状況や成果をご報告することを目的として、活用事業報告会を開催しました。

報告会では、冒頭JICAより、寄附金事業設立の経緯を説明するとともに、基金の活用方法や活動分野についてご紹介しました。次に、「2014年度JICA基金活用事業」として採択された11団体の中から、2団体より、活用事業の成果をご報告いただきました。

最初の発表者は、南アフリカ共和国で若者の薬物乱用問題に取り組む「ニバルレキレ−I am special!−」の小山えり子代表です。ニバルレキレは今回、JICA基金を活用し、南アフリカ共和国のハウテン州エクルレニ市において、薬物乱用防止とHIV感染予防の啓発のための活動を実施しました。現地で実施した活動は、学校や路上での啓発活動・カウンセリングをはじめ、エイズ孤児のためのワークショップ開催や、HIV陽性者を対象とした治療教育など、多岐に渡ります。JICA基金は主に、ワークショップ会場等の会場借料費や、スタッフや障害のある参加者の移動費に使用されたということです。活動の成果として、薬物乱用者やHIV陽性者の相談に対応できる体制が整備されたこと、また自立支援プログラムのあるNGOとの連携などの地域でのネットワークが強化されたことが報告されました。今後も現地で活動が継続されるよう、ネットワーキングなどの必要なスキルを現地スタッフへ伝えていきたい、と小山代表は今後の目標を語りました。

次に活動報告を行ったのは、「ネイバーズ」の吉田三千代代表です。ネイバーズはフィリピンで車いすを必要とする障がい者のための活動を実施しました。日本で不要になった車いすを途上国へ届ける活動を行う「飛んでけ!車いすの会」の設立者でもある吉田代表は、長年の支援活動の中で、車いすには定期的な整備が必要であり、また使用者自身がその整備技術を習得する必要があるという点に気付きました。そこで今回、JICA基金を使用し、車いす使用者が安全に長期間乗れるように車いすを整備できる技術を習得するためのワークショップを開催しました。ワークショップはフィリピンのセブ市で初級・上級合わせて4日間の日程で開催され、障害を持つ方々とその家族など約20名が参加しました。研修では、日本から派遣された車いす整備の専門家から、シートやアームレストの縫製、タイヤのパンク修理、構造の点検方法などを学びました。参加者の多くはミシンに触るのも初めてだったということもあり、とても興味深そうに、熱心に研修を受講していたそうです。また今回の活動では、啓蒙活動としてショート映像を作成し、地域の映画館やテレビで上映する取り組みも行われました。吉田代表は今後の活動について、JICAが実施する草の根技術協力事業の活用も検討しながら、活動を継続していきたいと話しました。

今回の報告会には、個人・法人の寄附者の皆様やJICA基金運営委員会の運営委員の皆様など、多くの方々にご参加いただきました。またJICA国内拠点、在外事務所とテレビ会議システム接続し、参加者間で活発な質疑、意見交換が行われました。今後も、JICA基金がどのように活用されているのか、途上国での活動内容やその成果等について、ご寄附をお寄せいただきました皆様へご報告してまいりますので、今後ともJICA基金へのご支援をお願い申し上げます。

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