現在の場所は

味の素株式会社

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国・地域:
ガーナ ノーザン州(北部)、セントラル州(中部)

企業:
味の素株式会社
食品、バイオ・ファイン、医薬の3つの事業分野を軸に、日本含め世界各国に事務所を設置し、製品を展開しています。

事業概要:
ガーナ大学や援助機関、国際NGOと協働し、乳幼児に不足しがちな栄養素を補う、離乳食用サプリメントを開発。さらに現地政府のネットワークを活用しながら栄養教育及びマーケティングを実施。

直面したリスク:

以下では、具体的な対応策をご紹介します。

BOP層の抱える課題

ガーナでは乳幼児の栄養不足や死亡率の高さが深刻な問題となっています。その要因として、将来の成長に大きな影響を与える離乳食に、必要な栄養素が不足していることが考えられています。

特に農村部で一般的な離乳食はkoko(ココ:発酵したトウモロコシから作られたおかゆ)ですが、必要な栄養素が不足しています。しかし、大手食品メーカーの販売する離乳食は価格が高く、そのため、農村部では2割が低体重、4割が低身長など、子どもの成長の遅れが顕著になっていました。

企業活動を取り巻く環境・背景

同社グループは、アミノ酸の用途開発の一環として、これまでにも小麦やトウモロコシを主食とするシリアやバングラデシュなどでアミノ酸の栄養効果に関する試験を実施してきました。2009年に創業100周年を迎えるに当たり、これまで培ってきた食とアミノ酸の知見・技術を世界の栄養課題解決に活用することを目指し、乳幼児の死亡率低下を目的とした、ガーナ栄養改善プロジェクトが開始されました。

課題解決アプローチ

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同社は、栄養改善を実現する製品の開発を行うと共に、開発援助機関やNGOと連携して現地における栄養教育を強化することで課題解決に取り組んでいます。

製品開発においては、乳幼児のその後の成長をも左右する、出産から生後2歳を迎えるまでの「人生最初の1,000日」の栄養改善に着目しました。そして、伝統的な離乳食であるコーンのお粥kokoに加えると、不足している栄養素を補うことが出来る「KOKO Plus」を、ガーナ大学、International Nutrition Foundationとの協働により開発しました。また、販売に向けて、同社が市場概況を調査・分析し、BOP層が購入可能となる価格帯と購買単位を設定しています。

乳幼児の栄養改善には、必要な製品の供給だけでなく、栄養摂取の重要性を母親に理解させることが必要不可欠です。こうした取り組みを、同社はガーナ保健サービスやガーナ大学をはじめ、JICA現地事務所や現地のNGOなどの社会セクターと広く連携しました。現地コミュニティに根差したこれら機関は、栄養を取り入れた食事の調理方法を指導するなど啓蒙活動を展開すると同時に、現地BOP層の母親への販売チャネルとしての役割も担っています。

ビジネスを通じたBOP層の課題解決

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「KOKO Plus」のテスト販売の段階で、消費者から「離乳期の子どもの下痢が減った」といった反応が聞かれました。こうした効果が口コミで広がり、コミュニティにおける製品の浸透につながっています。また、効果を実感できたことや、事前の調理指導があったことから、同社の想定する喫食回数が週4日程度であったのに対し、実際には毎日喫食を行った家庭が多かったという結果も見られました。

同社の取り組みは、消費者である母親やその子どもへの裨益だけでなく、現地人材の雇用やエンパワーメントへの貢献にもつながっています。製品の啓蒙活動や販売活動に関わる女性は「KOKO Plus」が子どもに対して良い影響を与える製品であるという価値に共感し、雇用や収入源の確保といった自身の利益以上に、コミュニティに対する貢献意識を持って活動に携わっています。

同社は、今後ガーナでの事業化に向けた調査を軸として、ガーナにおける本格生産を目指すと共に、同様の課題を抱える他の途上国でも展開を図り、販売規模の拡大に取り組んでいます。

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