\報告/JICA教材でこんな授業しました!ver.5 ~小学校・総合×家庭科×理科、中等教育学校・探究の授業風景より~

JICA東京が提供した教材を活用し授業を展開されている先生から、どんな風に教材を使って授業をしているのか、どの教材がおすすめなのか教えていただきました。 (前回報告は本記事一番下のリンクから見られます)

2022年4月28日

授業を生かして卒業記念パネルに! 

1人目は、小田原市立新玉小学校の渡辺まき子先生です。

===学校でどんな学習活動をしたのでしょう?
 本校では、JICAの教材を活用し、SDGsについて皆が学ぶ全校的な取り組みになるように計画しました。まずは校長先生が各学年でSDGsとの出会いの授業をしてくださいました!JICAの大きいカードやNHK教育のSDGsの歌を活用しながら、SDGsとは何か、どんな項目があるかを各学年の発達段階に合わせて紹介しました。
 1、2、3年生では、SDGsの目標や概要の紹介をした後、どんな言葉が難しいと感じたか、どんな感想や疑問を持ったかなどを聞き、そこで出た疑問や感想を整理して模造紙に張り出しました。
 6年生はその掲示をその学年のニーズに合ったプレゼンにするための資料として活用しました。5年生は、自分たちが学校で取り組んでいけることは何かを考え、話し合ったことを全校が見られるように昇降口前に展示しました。4年生は、SDGsを小田原市の全小学校で取り組んでいる尊徳学習(二宮尊徳の生き方と功績について)とつなげて学び、実際にミニ田んぼ整備の活動も行いました。
 6年生は、総合的な学習の時間、理科、家庭科を組み合わせた教科横断のプロジェクトに取り組みました。まずは各項目について、目標の意味、その目標が生まれた背景や世界の実態、具体的に可能なアクションについて、JICAのホームページを含むインターネットサイトや本で調べました。そして下級生が難しいと感じた言葉をわかりやすく説明しようと工夫し、各項目について分担してスライドを作成しました。各学年への発表は体育館での対面を予定していましたが、コロナの感染予防のためオンラインとなりました。6年教室と各教室や家庭をつないで行い、新たな経験ができました。

【画像】最後に卒業記念として、スライドをもとに全17項目をパネルにまとめました。新年度、早速新しく入学した1年生が「SDGsって書いてある!」とパネルに注目しています。

【画像】===JICA教材をどんな風に使ったか教えてください。
◯大きいSDGsカードおよび資料
 児童がいつでも自由に見られるように「SDGs展示コーナー」に掲示しました。

◯小さいSDGsカード(A6版)
 班の担当目標を決める際のくじとして、また、担当目標の確認のために使用しました。

◯JICAのホームページ
 調べ学習、スライド作成に利用しました。

全国グローカル探究オンライン発表会で金賞受賞!

2人目は新潟市立高志中等教育学校の安部裕太朗先生です。

===学校でどんな学習活動をしたのでしょう?
今年度、本校はすべての学校教育活動にSDGsの視点を取り入れることを念頭に、さまざまな活動を行ってきました。その取り組みのひとつとして、月に生徒会のプロジェクトチームとして「SDGs推進委員会」が発足しました。学校・地域・行政・メディアをSDGsというキーワードで結び、本校におけるその旗振り役として、1~5年生の有志26名が初代メンバーとして立候補をしてくれました。具体的には校区内にある「鳥屋野潟」の保全活動を通してさまざまな人たちとのつながりを深め、その活動は2022年1月に行われた「全国グローカル探究オンライン発表会」で金賞に選出されました。

【画像】===JICA教材を使ってみて、思ったことは?
地域課題をSDGsの視点で見直すために、「SDGsカード」を活用しました。SDGsは「学ぶ」だけではなく、「行動を起こすこと」がなにより大切です。専門委員会などの生徒会活動を通して、ひとつでも多くの「アクションを起こす場」を提供できたらと思っています。

給食の残菜を少しでも減らそう~!

3人目は、埼玉県 戸田市立芦原小学校の若林広泰先生、中村潤子先生、藏田万葉先生です。

===学校でどんな学習活動をしたのでしょう?
 小学校第3学年の総合的な学習の時間で「生き活きプロジェクト」として35時間実施しました。
 SDGsカードは、大きいものは板書掲示用にし、小さいカードは生徒に渡して活用し、食事に関わる様々な人たち(食事を作る人、生産者、販売者など)のインタビューやGT(ゲストティーチャー)の話を通して、食事に関わる概念学習を計画しました。また、学校栄養士からも話を聞き、毎日の給食で出る残菜量に着目し、「残菜を減らすために自分たちにできることは何があるだろうか」という問いをもち、学習活動を展開していきました。

黒板に大きいSDGsカードを張り出すことで教室全体での共通理解・視点を持つことができました。

どのSDGsが関わってくる話なのか、児童同士が小さいSDGsカードを動かしながら議論を深めました

 SDGsカード(大・小)を使ったのは単元の終盤。自分たちが校内で行ってきた「給食の残菜を少しでも減らそう」というプロジェクトはSDGsの目標のどれにあたるかを考えることを切り口に、世界で実際に社会問題になっている「フードロス」について学びました。自分たちの活動はSDGsの目標に貢献するものであることや、大人も解決できない社会問題があることを知ることができました。

===JICA教材の使い方のポイントを教えてください。
〇小さいSDGsカード(A6版)
 複数のセットをもち、クラスの児童をグルーピングし、実際にカードを操作しながら、使用するのがいいと思います。当校の授業実践ではそのように使ったところ、ピクトグラムを見て、想像を膨らませている児童もみられました。


市民参加協力第一課 松本 聡