2022年度「教員のためのSDGs研修」授業実践レポート

2023年1月30日

JICA東京が行う教員研修をご存じですか。2022年度は「教員のためのSDGs研修」を実施しました。
(詳細は、関連リンク「教員研修(2022年度募集開始!!) | JICA東京 - JICA」をぜひご覧ください。)
今年度「教員のためのSDGs研修」に参加された橋爪先生の研修内容を活かした授業の様子をインターン生の“くぼゆう”こと久保田優果が報告します。

SDGsを取り入れた国語の授業とは? 

ペイオフマトリクスを用いて具体策を整理します。

近年よく耳にする「SDGs」。SDGsはどの教科・領域の内容なのでしょうか。おそらく「社会科」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
橋爪先生は8月に「教員のためのSDGs研修」に参加し、そこで得たことを国語の授業を通して生徒に伝えていました。今回見学したのは、「SDGs17の目標について自分たちができる具体的な行動を考える」授業の5時間目。
1時間目は道徳の授業でSDGsの概要を学び、日本はSDGsに関連したどのような問題を抱えているのかについて考える授業。その中で、SDGs研修で訪れた芝園団地の事例を紹介しました。
2時間目は総合的な学習の時間。JICA出前授業(国際協力出前講座 | JICA東京 - JICA)を通して国際協力や世界の国の開発課題について協力隊経験者の話から学ぶ授業を展開しました。

その後、2時間の国語の授業を終えて迎えた今回の授業。前回の授業で生徒たちに課された課題は「(SDGsを達成するために)自分の一日の中で変えられる行動の写真を撮影してこよう」というものでした。本時の授業はその宿題の発表から始まりました。生徒は「エコバッグ」や「さとうきびで作られたストロー」などをグループの中で紹介していました。
その後、SDGsの目標を達成する身近な行動について考えるグループワークに入り、タブレット端末を活用し、グループの中で意見共有を行っていました。その後、ペイオフマトリクスを用いてグループの中で出た意見を整理する活動に入りました。その観点は、「効果の大小」と「実現可能性」。ペイオフマトリクスによる意見の整理をもとに生徒はさらにSDGsの17のゴールを達成するために効果的で実現可能性の高いアクションを1つ出しました。

それでは、いくつかの班の最終意見をご紹介します!
・ごみの分別をする。
・マイボトル・エコバッグを持ち歩く。
・スマートフォンやテレビの使用時間を短くする。
・家事を分担する。

今後に期待!発展途上にある国際理解教育

「SDGs 17の目標について自分たちができる具体的な行動を考えよう」というテーマを掲げる橋爪先生の授業は、学校の中に国際理解教育を取り入れていく上で大きな一歩です。国際理解教育は、ある特定の教科・領域だけで実施されるものでは決してないということを、改めて感じることができました。それは、世界中のどこで暮らしていても、もし仮にSDGsに興味がなかったとしても、まったく関係のない人がいないように、どの教科・領域であれ、普段から取り扱っていくことで生徒にとってSDGsは身近なものになっていきます。その積み重ねによって生徒は抵抗感なくSDGsをテーマとした橋爪先生の授業を受けているように感じました。

国際理解教育は、これからもっと楽しくなります。橋爪先生のようなSDGsに対する感覚を持つ先生が増えていくために、JICA東京は先生方を応援します!
今後、学校としてあらゆる場面において国際理解教育を進めていけるように、橋爪先生のリーダーシップが発揮されます。未来を創る子どもたちのため、その未来を育てる教員として日々の授業実践を重ね、SDGsを「当たり前」に日常化できるような試行錯誤が続きます。

インターン生のつぶやき

授業見学に参加したインターン生2名のコメントを最後にご紹介します!

●現在、英語の教職科目を履修中の建部麻衣
生徒が何の抵抗感もなくSDGsに触れていたことに感銘を受けました。積極的にSDGs達成に向けて自分たちができる行動に関して案出しをしている点はゴール達成に向けて非常に良い大きな1歩だと考えます。それぞれが持ってきた写真について考えを述べるのは難しいことであるのにも関わらず、中学1年生でそれができるのは私の時代ではなかったことのように感じます。
また、ワークが終わった後も「〇〇番のゴール達成に貢献できそうだね」で終わるのではなく、「他のこのゴールも達成できそうじゃない?」と思考を巡らせていた生徒の姿が印象的でした。今後も大切にしてほしいアクションです。

●社会の教職科目を履修中の久保田優果
橋爪先生の授業実践を観察する中で、持続可能な開発目標(SDGs)が生徒に広く認知されていることを感じました。私が中学1年生の時のSDGsの前身であるミレニアム開発目標(MDGs)と比べ、前進したといえるのではないでしょうか。他にも、SDGsの達成のために身近にできるアクションとして「家事を分担すること」やユニバーサルデザインという単語は出ていませんでしたが「側面に凹凸が付いているシャンプーを使うこと」といった意見が出ていたことに感心しました。
現在、大学で社会科の教職科目を履修しています。4年次には中学校で教育実習をする予定です。大学の講義の学びやJICAのインターンシップを通して見学している先生方の授業を参考に授業計画を立てたいと思います。特にSDGsは取り扱いが難しいことを今回の授業実践を通して強く感じましたが、SDGsについて更に学びを深め挑戦したい所存です。
   
   
報告者から・・・
 JICA東京市民参加協力第一課でインターンをしております久保田優果です。
 JICA東京は2022年度「教員のためのSDGs研修」を実施しました。研修目的や内容等は以下のURLからご覧ください。またインターン生の岡本君がSDGs研修に参加した報告レポートもぜひご覧いただけますと幸いです!
 そして只今、先生方は参加したSDGs研修で得たことを基に授業実践をしております。私たちインターン生はその授業を見学させていただいています。先生方がどのような授業を展開されたのか、またそれを受けて児童・生徒がどのように受け取ったのかといった点について少しでもお伝えしたいと思い執筆しました。いかがだったでしょうか。