北岡理事長がハワイを訪問:日本人の海外移住から150年、最初の移住先であるハワイで日系社会との連携強化の意義を確認

2018年6月13日

6月6日から7日にかけてハワイのホノルル市で第59回海外日系人大会(海外日系人協会主催、JICA後援)が開催され、秋篠宮同妃両殿下ご臨席のもと、佐藤正久外務副大臣、伊藤康一在ホノルル総領事らとともに北岡伸一JICA理事長は出席しました。

記念講演に登壇する北岡理事長

海外在住日系人が一堂に会す本大会は、移住先の各国の実情を日本に知らせ、あわせて国際交流、国際理解、国際親善を深め、同時に世界の対日理解の促進を図る場となっています。例年東京で行われている中、今年は日本人が初めて集団で海外に移住した1868年(明治元年)から150年目の節目であることから、その最初の移住先であるハワイで開催されました。

6日、本大会の冒頭の記念講演に登壇した北岡理事長は、米国移民として活躍後、戦前、日本でも外交評論家として活躍された清沢洌を例にとり、彼の活躍の源泉は自らの力で道を切り開いていった移民としての経験にあることを指摘しました。

また、太平洋戦争時代に強制収容された日系の方々へ日本が物資の支援を行えば、敗戦後の物が不足した日本に、今度は日系人が粉ミルクや衣料等を「ララ物資」として支援したことにふれ、互いを気に掛けることが「国際協力の原点」であると指摘。今後は日系社会との絆を一層深めることはもとより、非日系の方々も含めた親日・知日派を増やしていきたいと述べました。

ハワイ日本人移民慰霊碑

最後に、150年前の明治維新を思い出し、もう一度日本はダイナミックな歩みを始めるべき時であり、海外の日系人の皆さんに祖国を誇りに思ってもらえるように全力を尽くすとして講演を締めくくりました。

第59回海外日系人大会は、パネルディスションなどを経て、内外の日系資料館のネットワークの促進や在日の日系社会への支援強化を確認するとともに、最初の日本人移民がハワイに到着した6月20日を「国際日系デー」とすることなどを宣言して閉幕しました。

佐藤外務副大臣(左)、二宮正人サンパウロ大学教授(中央)と北岡理事長

翌7日は、元年者実行委員会(注)主催による150周年記念式典及び関連行事が行われ、世界15ヵ国から約300名の日系人が集結し親睦、交流を深めました。

各国の日系人の方々が何世代にもわたって現地社会や国際社会で信頼を築き上げてきたように、JICAも昨年定めたビジョンの通り、「信頼で世界を繋ぐ」べく、より一層開発協力や多様なステークホルダーとの連携の取り組みを強化していきます。

(注)元年者実行委員会:ハワイの日系団体「絆グループ」と呼ばれる20の団体が団結し、ハワイの日系アメリカ人コミュニティーを代表する委員会を結成。