田中理事長がインドネシアを訪問-閣僚らとインフラや防災などの協力の方向性を協議-

2012年9月14日

田中明彦JICA理事長は、9月2〜8日、インドネシアを訪問し、ブディオノ副大統領をはじめとする同国の閣僚らと会談したほか、JICAが支援を行っている同国中部のメラピ山周辺の被災地などを視察した。

災害の経験と教訓を世界に発信

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メラピ山で、日本人専門家から説明を受ける田中理事長(右)

田中理事長は、まず、2010年11月のメラピ山噴火による被災地を訪問。メラピ山は、古都ジョグジャカルタのわずか30キロメートル北に位置し、「火の山」という名の通り、世界でも代表的な活火山。2010年の噴火では、1億4,000万立方メートルと推定される火山噴出物がふもとに堆積し、386人が死亡、避難者は約40万人に達した。

現地視察で田中理事長は、円借款事業で建設された砂防ダムなどが噴火被害の軽減に貢献したこと、一方で、被災地には依然として大量の土砂が存在し、緊急事態が続いていることを確認。その後のブディオノ副大統領との会談で、「JICAは1985年以来、メラピ山の砂防に対する協力を進めてきており、今後も継続していきたい」と述べた。また、「メラピ山での協力の経験は雲仙普賢岳などの防災にも役立っており、日本にとっても有益だ。今後も両国の防災の取り組みを共有しつつ、国際社会に発信していきたい」と付け加えた。これに対し、ブディオノ副大統領からは、噴火の際の日本の迅速な支援に対する感謝の意と、今後の両国の協力に対する期待が示された。

大災害を経験した両国の協力

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クントロ室長(右から二人目)と、災害対策について

2004年12月に発生したスマトラ沖大地震・津波災害の後、被害の大きかったアチェ・ニアス地域の復興に向け陣頭指揮を執ったアチェ・ニアス復興庁の元長官でもあるクントロ・マンクスブロト大統領府開発監督管理室長とも会談。両国は災害分野で共通の課題を持っており、今後も協力を促進していくことを確認した。

クントロ室長は「災害には二つとして同じものはなく、復旧・復興活動には、社会、文化などの特性を理解し学びながら進める柔軟な対応が必要だ」と強調。また、アチェの復興に対する日本の支援が、その後に発生した災害の復興にも引き継がれていると、感謝の意を表した。

ジャカルタ首都圏の投資促進を目指して

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ハッタ大臣(左)と握手を交わす田中理事長

田中理事長は、インドネシアのインフラ開発の中心的存在であるハッタ・ラジャサ経済担当調整大臣、アルミダ・アリスジャバナ国家開発企画庁長官とも相次いで会談。現在、JICAがマスタープラン調査を実施している「ジャカルタ首都圏投資促進特別地域(MPA)構想」の今後の展開について意見を交換するとともに、プロジェクトの迅速な実施に向け、双方で協力していくことを確認した。ハッタ大臣は、「日本はインドネシアにとって戦略的パートナーにとどまらない、真の友人だ。引き続き、支援をお願いしたい」と述べた。