田中理事長がガーナのマハマ大統領ら要人と会談

−親日派大統領、日本のさらなる支援に期待−

2013年3月15日

田中明彦JICA理事長は、3月13日、ブルキナファソに続き、サブサハラ・アフリカで7ヵ国目の訪問先となるガーナに到着しました。

マハマ大統領(右)と握手を交わす田中理事長

テテ外務大臣(右)との会談

ガーナ大学、野口医学記念研究所の視察

田中理事長は、13日にテペ財務経済計画大臣、14日にマハマ大統領、テテ外務大臣と会談し、意見交換を行いました。

1)マハマ大統領との会談では、大統領より、わが国が2004年に実施したHIPCイニシャティブ(注)に基づく債務免除に対して感謝が示され、さらなる国力の強化について決意が表明されました。また、これまでの日本の協力、特にタマレ(Tamale)−パガ(Paga)間での道路建設など、30年間で750億円以上をかけて国の骨格をなす基幹インフラを支援してきたことに対し感謝が示され、円借款の再開に向けた期待への言及がありました。

2)田中理事長からは、2012年12月に就任したマハマ大統領に対して、在ガーナ日本大使館での勤務経験がある同氏の大統領就任について祝辞を述べると共に、今後もインフラ、農業、保健を重点に協力を継続していく旨、言及しました。

3)また、マハマ大統領が6月に開催されるTICADVに出席予定であることに加え、対ガーナ協力50周年となる今年、2国間関係をいっそう強化していくことについて、双方で確認しました。

4)外務大臣との会談では、ガーナが掲げる「中期国家開発計画(Ghana Shared Growth and Development Agenda)」と、JICAの「Inclusive and Dynamic Development(すべての人が恩恵を受けるダイナミックな開発)」が一致していることを確認。西アフリカ地域の安定と成長のため重要な国の一つである、ガーナの国民に広く裨益する経済成長および貧困削減に資する支援を実施していくこと、特にガーナの経済成長を支援するためには中小企業支援が重要であることについて、認識を共有しました。

また、14日午前、無償資金協力事業である「貧困削減支援無償(保健)」および「貧困農民支援」の供与文書署名式に同席した田中理事長は、式典後の記者会見で次の通り述べ、日本のガーナ支援の成果もアピールしました。

1)日本の対ガーナ支援は、今年で50周年を迎える。1963年、現在のテマ技術大学校(Tema Technical Institute)への技術協力から始まり、さまざまな協力を行ってきた。青年海外協力隊の派遣はこれまで1,000人以上、ガーナから日本に来た研修員は3,000人にのぼる。

2)ガーナは、西アフリカ地域の安定と成長のための重要な国であり、ガーナの国家開発戦略に沿い、ガーナ国民に広く裨益する経済成長および貧困削減に資する支援を実施していく。

3)ガーナは、野口英世博士が黄熱病の研究を行っていたこと や、日本のチョコレート原料のカカオ約8割がガーナから輸入されていることなどから、日本で親近感を抱かれており、今後もガーナの成長を支援しながら日本も活気付くような「元気の出る国際協力」を実施していきたい。

理事長は、記者会見終了後、本邦企業関係者との意見交換を行うと共に、ガーナ大学、国連大学アフリカ自然資源研究所、野口医学記念研究所を訪問して実施中のプロジェクトなどを視察し、帰国の途につきました。


(注)重債務貧困国(HIPC: Heavily Indebted Poor Country)とは、国際通貨基金(IMF)および世銀により認定された、世界で最も貧しく最も重い債務を負っている開発途上国のこと。2003年度末時点でアフリカを中心に42ヵ国が認定されている。HIPCイニシアティブは、1996年に、IMF・世界銀行が提唱し、各国政府によって合意された重債務貧困国を対象にした国際的な債務救済スキーム。一定の要件を満たした貧困国の厳しい債務負担を持続可能な水準に引き下げることが目的。1999年のケルンサミットでは、HIPCイニシアティブをさらに改善・拡充し、「より早く、より広範で、より深い」債務救済を行うスキームとして、「拡大HIPCイニシアティブ」が合意された。ガーナは2004 年7 月に拡大HIPC イニシアティブの完了時点に到達し、国際的な枠組みの下で包括的な債務救済の適用を受け、わが国もガーナの債務を免除。