田中理事長がミャンマーを訪問 (その2 プロジェクト視察)

2013年8月13日

田中明彦JICA理事長は、8月5日〜11日のミャンマー滞在中に、JICAプロジェクトを視察しました。また、ミャンマー日本人材開発センター開所式に出席した他、ミャンマーの有識者や開発援助機関関係者を招いて講演会を行いました。

手話支援者の研修風景を視察する田中理事長と小川専門家

JICAプロジェクトの視察では、まず、技術協力「人身取引被害者自立支援のための能力向上プロジェクト」および「社会福祉行政官育成(ろう者の社会参加促進)プロジェクトフェーズII」の現場を訪問しました。人身取引対策プロジェクトでは、約400名に対し人身取引の被害者支援に関する研修を実施済であり、また、手話普及の事業では、9名の指導員を養成済で、24名の手話支援者を養成中であり、全国の約5,000名に対し手話講座を実施した実績が紹介され、効果的に事業を行っている様子がみてとれました。

また、新ヤンゴン総合病院やティラワ地区を訪問しました。ミャンマーの人々に「JICA病院」と親しまれている新ヤンゴン総合病院は、1984年に日本の無償資金協力により建設されたほか、CTや放射線科施設等医療器材を支援したものです。病院関係者が1980年代に供与された放射線機器等を、いまだに維持管理して使用している様子に感銘を受けました。病院長からは、JICAの協力がミャンマーの保健医療事情の改善に貢献しているとの感謝の意が表明されました。

ミャンマー日本人材開発センター開所式典にてテープカットを行う両国関係者ら

開発援助機関関係者や有識者と意見交換を行う田中理事長

9日にはミャンマー日本人材開発センターの開所式が行われ、田中理事長が出席しました。同センターはミャンマー商業省、ミャンマー商工会議所連盟とJICAの協力の下、ビジネス人材の育成を進めていくための拠点として設置されました。産業人材の育成は、世界的な競争力を持つミャンマー企業を育てることに寄与するだけでなく、日本企業が進出しやすい環境作りにも貢献することが期待されています。

ミャンマーの有識者、開発援助機関関係者など約50名を招いたセミナーでは、田中理事長からJICAのミャンマーに対する長年にわたる協力や、今後の日本・ミャンマー関係、さらには東南アジアの発展の経験と開発援助機関の役割について講演を行いました。特に、タイの東部臨海開発を例に挙げて、長期にわたるインフラと人材育成の支援について強調しました。その後、参加者らとの意見交換・質疑応答が活発に行われました。

滞在日程の後半では、同国中部のマンダレー地域ニャンウー地区を訪問し、「中央乾燥地村落給水技術プロジェクト」(技術協力)および「中央乾燥地植林計画」(無償資金協力)の成果を視察しました。給水技術プロジェクトで井戸を掘削した“Gyan Lee”村では、井戸使用状況を視察したほか、水管理組合の住民から説明を受けました。

「井戸がないころは水くみが1日仕事になることもあったが、井戸ができたおかげで農作業に集中できるようになったし、飲み水にも困らなくなった。また、井戸ができて牛にも十分に水を与えることができるようになったため、井戸がないころと比較して、牛が2倍以上に増えた。JICAの協力に感謝する」と住民の一人から協力への感謝が述べられました。また、住民の活動に関連し、井戸水の売り上げを毎日帳簿につけ、その利益を基に、種子の購買資金などに充てるマイクロファイナンスを住民自身で行っていたことが特記されます。

田中理事長は7日間のミャンマー滞在を終え、11日、帰国の途につきました。