田中理事長がラオスを訪問

−バランスのとれたラオスの経済発展に向け、支援の継続を表明−

2013年9月2日

田中明彦JICA理事長は、8月28日から30日にかけてラオスを訪問しました。トンシン・タマヴォン首相をはじめとする要人との会談のほか、ODA案件の視察等を行いました。

トンシン首相(右)との会談

トンシン首相との会談では、ASEANが発展する上で重要な同地域の連結性強化について意見交換しました。その中で、2015年のASEAN統合も念頭におき、ラオス政府の国家目標の達成に向けて、経済発展を急務としつつもその過程で生じうる負の側面についても配慮した、バランスの取れた形での支援を継続していくと表明しました。トンシン首相からは、1991年以降最大の支援国である日本による長年の支援、ラオスの発展において日本が果たしてきた役割や二国間の友好関係に対する高い評価が伝えられました。また、貧困削減に資する基礎的なインフラや投資環境の整備等、ラオスが取り組まねばならない課題に対する、日本の支援が要請されました。

このほか、ソムディ・ドゥアンディ計画投資大臣、プーペット・カンプンヴォン財務大臣と会談し、ラオスの近年の発展とASEAN地域統合に向けての課題、JICAの協力につき意見交換しました。

バス公社にて日本が供与したバスおよび両国関係者と共に

また、ナムグム第一水力発電所(注1)、バスの調達に対する無償資金協力や経営改善・サービス向上のための技術協力の実施機関であるビエンチャンバス公社、JICA-ASEAN連携ラオスパイロットプロジェクト(注2)で支援しているクリーン農業開発センター(CADC)(注3)等のODA案件の現場視察や、ビエンチャン日本人商工会議所関係者、投資促進分野等のJICA専門家、助産師や小学校教師を務めるボランティアとの面談等を通じて、日本のODAがラオスの社会経済発展に貢献している状況を確認しました。

なお、今回のラオス訪問にあたっては、ベトナムのフエからラオスのサバナケットまでの東西経済回廊(下記PDF参照)約600キロメートルを陸路で走破する形の入国としました。道中、国道9号線の改修事業やサワン・セノ経済特区等を視察したほか、サバナケット県知事や同特区に進出している日系企業との意見交換やタイ・ラオス国境の第二メコン国際橋の視察を行いました。

田中理事長は3日間のラオス滞在を終え、30日、帰国の途につきました。


(注1)わが国が1960年代から無償資金協力、円借款を通じて発電所建設を支援し、2000年代以降も第1号機および第2号機の補修を支援。更に、現在、発電ユニット1基の増設を円借款で支援。
(注2)ラオス政府、ASEAN、JICAの三者でASEAN域内の格差是正に資する協力のモデル作りに取り組むもの。パイロットプロジェクトとして、農業、環境、観光の三分野について技術協力を実施。
(注3)ASEAN統合に向けた課題の一つである適正農業規範(GAP)をラオスにおいて実践・普及するためモデル圃場として、生産者への技術指導の拠点となっている。