田中理事長が国連総会議長主催ハイレベル・イベントに参加

−2015年以降の開発課題に対するJICAの考え方や南南・三角協力の役割について発信−

2014年5月23日

田中明彦JICA理事長は、5月21日から23日までの3日間、米国ニューヨークに出張し、2015年以降の開発課題「ポスト2015年開発アジェンダ」に関する国連総会議長主催のハイレベル・イベントに参加するとともに、国連関係者と面談しました。

パネル討論で発言する田中理事長(左)

今回、5月21、22日の2日間、国連本部で「ポスト2015年開発アジェンダの実施における、南北協力・南南協力・三角協力・開発のための情報通信技術(ICT)の貢献」と題した国連総会議長主催のハイレベル・イベントが開催され、理事長は22日に行われたパネル討論に登壇しました。

現在、国連では2014年秋の第69回国連総会に向けて、現行のミレニアム開発目標(MDGs)が終了する2015年以降の開発課題に関する議論が進展しています。このような中、2014年2月から6月にかけて国連総会議長が2015年以降の開発課題に関する六つの会合を開催することになっており、今回のイベントはその一つに当たるものです(注)。

理事長は、イベント2日目の22日午前に行われたパネル討論に登壇。各国政府代表や国連機関、NGO等の関係者が聴講する中、アリシア・バルセナ・イバーラ国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会事務局長らと共に、「経済成長、雇用やディーセント・ワークを推進するために、南北協力・南南協力・三角協力といったあらゆる形態の協力をどう強化できるか」というテーマの下で討論を行いました。

理事長は、まず、2015年以降の世界の状況認識に触れた上で、開発目標の設定に当たっての基本理念や、取り組むべき主要な課題について述べました。その上で、これまでにJICAが関わった三角協力の事例に言及しながら、2015年以降の開発課題への取り組みにおいて、南南協力・三角協力が重要な役割を果たすと説明するとともに、それらの協力を強化する方法について述べました。これに対して、「メキシコの開発援助機関設立に向けて行った協力をはじめ、JICA/日本がメキシコと行っている南南・三角協力は、受益国の課題解決に貢献するとともに、メキシコの能力強化にも資するものである」(メキシコ政府代表)など三角協力を含めた日本の国際協力を高く評価する声がありました。

【画像】

アッシュ総会議長、クラーク総裁、エリアソン副事務総長と面談(写真左より)

また、理事長は本イベントの参加に先立ち、21日に、ジョン・アッシュ第68回国連総会議長、ヤン・エリアソン国連副事務総長、ヘレン・クラーク国連開発計画(UNDP)総裁と個別に面談しました。アッシュ国連総会議長との会談では、ポスト2015年開発アジェンダに関するJICAの考え方を紹介して意見交換を行いました。また、エリアソン国連副事務総長とは、同氏が人間の安全保障諮問委員を務めていることから、2015年以降の開発課題における人間の安全保障の理念の役割について意見交換をしました。さらに、クラークUNDP総裁との間では、今秋予定されている両機関間の定期協議も活用しながら着実に連携実績を積み上げていくことに合意しました。

(注)三つのハイレベル・イベントと三つのテーマ別会合から成る。