田中理事長がバングラデシュを訪問

−ベンガル湾産業成長地帯構想の実現に向けて協議−

2014年6月17日

田中明彦JICA理事長は6月14日から17日にかけてバングラデシュを訪問し、ハシナ首相およびムヒト財務大臣と会談しました。また、ダッカ大学での講演、第35次円借款調印式への参加、JICA事業の視察などを行いました。

ハシナ首相(左)との会談

1)16日のハシナ首相との会談では、5月の日バ首脳会談で合意された「日バングラデシュ包括的パートナーシップ」を受け、同日円借款契約の調印が行われた5件のプロジェクトの着実かつ速やかな実施の必要性を互いに確認するとともに、今後の開発協力について検討を進めていくことで一致しました。また、田中理事長からは、ダッカ大学での講演(後述)やサイト視察の結果を紹介するとともに、今後のバングラデシュにおけるエネルギー開発(ガス、太陽光等)の可能性などについて意見交換を行いました。

2)同日のムヒト財務大臣との会談では、5月の日バ首脳会談後の記者会見で両首脳から包括的パートナーシップの一つとして言及された「ベンガル湾産業成長地帯構想(The Bay of Bengal Industrial Growth Belt Initiative, BIG-B)」をはじめとする今後の協力が話題となりました。

資生堂による農村女性向け活動に参加する田中理事長(中央)

3)同日午前にはダッカ大学において約300人の教授や学生らに対し、「JICAの支援戦略:BIG-Bとその先」と題する講演を行いました。世界の成長センターが環太平洋から環インド洋まで拡大しつつある中、南アジアは国境を越えた地域全体、さらに太平洋地域と連動して成長の加速化を図るべきであり、そのためには両地域をつなぐ要衝であるバングラデシュに、国際的なバリューチェーンの拠点となるベンガル湾産業成長地帯(BIG-B)を築くことが重要であると訴えました。また、講演の中では、これまでに実施してきた住民参加型の地方開発および母子保健分野に係る活動についても言及しました。

4)田中理事長は、同日午後に開催された第35次円借款(5案件、1,209億8,600万円)の調印式においても、ムヒト財務大臣等政府要人が列席する中、これまでの対バングラデシュ支援およびBIG-Bの重要性についてスピーチを行いました。

5)このほか、バングラデシュ滞在中、理事長はJICAが世界銀行およびアジア開発銀行と共に建設を支援したジャムナ橋や、住民ニーズと行政をつなぐべく、技術協力および青年海外協力隊の支援の下で進めているユニオン開発調整会議、さらにはBOPビジネス調査で支援している株式会社資生堂による農村女性向け衛生・栄養改善啓発活動の各現場を訪問、視察しました。また、日本企業のバングラデシュにおける活動および今後の展望などについて、バングラデシュで活動する本邦企業とも意見交換を行いました。