田中理事長がブータンを訪問

−50年にわたる協力を振り返り、未来に向けて−

2014年6月23日

ジグミ・ケサル国王陛下(左)への謁見にて

田中明彦JICA理事長は、6月17日から20日にかけてブータンを訪問し、ジグミ・シンゲ・ワンチュク前国王陛下(第4代国王)、ジグミ・ケサル・ナムギャル・ワンチュク国王陛下(第5代国王)に謁見するとともに、ツェリン・トブゲイ首相ほか政府要人と会談しました。また、日本ブータン協力50周年記念式典への参加、農業機械化センター内に設置された「西岡記念館」開館式への出席、JICA事業の視察を行いました。

1)ジグミ・シンゲ前国王陛下への謁見(19日)では、1964年から28年間にわたりブータンで活動した故・西岡京治専門家や、現在東部で活動する冨安裕一専門家らをはじめとする農業分野における息の長い協力がブータン国民の生計向上に大きく貢献したことに対し、前国王陛下から高い評価が示されました。ジグミ・ケサル国王陛下(第5代国王)への謁見(19日)においては、同国王陛下より、日本の協力、とりわけ専門家やボランティアなど人を介した協力に対する謝意が述べられるとともに、今後のブータンの地方における農業・農村開発について、一村一品のアイデア等意見交換を行いました。

トブゲイ首相(右)と会談する田中理事長

2)トブゲイ首相との会談(18日)では、同首相から、JICAによる特に農業分野の長きにわたる協力の成果に対する謝意とともに、今後の同分野に対するさらなる期待が示されました。また、現政権下のブータン開発の五つの重点分野(水力発電、農業、観光、中小企業振興および持続的な鉱物資源開発)に対する協力について、意見交換を行いました。

3)18日には在インド日本大使館・JICAブータン事務所の共催で、リンジン・ドルジ外務大臣を主賓に迎え「日本ブータン協力50周年記念式典」が開催されました。関係閣僚を含む約80人の政府幹部や開発パートナー駐在代表等が集まる中、田中理事長はこれまでの協力の成果を紹介するとともに、ブータン政府が本年より実施する第3回国民総幸福量(GNH)調査に対し、JICAが支援することを表明し、今後の両国の協力関係を深めることが確認された機会になりました。

西岡記念館開所式に参加する田中理事長(右)

4)17日には、田中理事長は、日本の農業協力が展開された西部の街・パロにおいて、50年にわたる協力の足跡を辿りました。

国立種子センターでは、同センターの敷地内にある故・西岡京治専門家を祀(まつ)った「西岡チョルテン」(慰霊塔)を参拝し、故人の長年にわたるブータンでの活躍に敬意を表しました。また、20年前に無償資金協力により整備された同センターの施設や機械が、現在でも丁寧に使用され、センターの活動が円滑に運営されている状況を視察しました。

農業機械化センターでは、同施設内に設置された西岡専門家の功績を称え後世に引き継ぐ「西岡記念館」の開所式典に参加しました。記念館視察では、当時の写真や映像を通じて、故人がブータンの農業分野で果たした成果を確認しました。

5)このほか、余剰農作物を活用した食品加工の開発を行うシニアボランティア、農家の生計向上に向け、きのこ栽培の研究・開発を指導する青年海外協力隊員、ティンプーの総合病院で栄養改善や透析患者の看護を行う青年海外協力隊員らの活動を視察しました。