田中理事長が国連総会ハイレベルウィークの会合に出席

−気候変動、アフリカ開発、保健指標に関するハイレベル会合でJICAの役割・貢献を発信−

2014年9月29日

田中明彦JICA理事長は、2014年9月23日から25日までの3日間、第69回国連総会の開会に併せて催される各種会合に参加するため、米国ニューヨークを訪問しました。

持続的可能な都市に向けた取り組みを決意

持続可能な都市開発の重要性を語る田中理事長

9月23日、田中理事長は、国連本部で開催された「気候サミット」(Climate Summit 2014)において、低炭素かつ気候変動に対してレジリエント(強靭)な都市の開発について議論する会合に出席しました。カリフォルニア州知事、ソウル市長、パリ市長等、世界の主要地方自治体の首長が温室効果ガスの削減や気候変動に対する脆弱性の克服に向けた決意や取り組みを表明する中、田中理事長は途上国の都市の取り組みを支援する開発援助機関の立場から、資金および政策支援・能力開発を中心としたJICA自身の取り組みやJICAが加盟する国際開発金融クラブ(IDFC)(注1)を通じた他機関との協働について紹介するとともに、本会合で新たに立ち上ったイニシアチブ「The Cities Climate Finance Leadership Alliance」(注2)への賛同・加盟を表明しました。

アフリカにおけるインフラ開発の重要性

JICAはアフリカ諸国のインフラ開発に向けた努力を支援し続けることを約束

24日には、安倍首相が主催したアフリカのインフラ開発に関する会合に出席しました。ガーナ大統領、エチオピア首相等、参加したアフリカの地域経済共同体(RECs:Regional Economic Community)の各議長国代表からの積極的な意見表明を踏まえ、田中理事長は最後の発言者として、1)「アフリカ・インフラ開発プログラム(PIDA)」などのアフリカ諸国による長期戦略を後押しする支援、2)第5回アフリカ開発会議(TICAD V)で表明された回廊開発・戦略的マスタープランの策定、3)ワンストップ・ボーダーポスト(One Stop Border Post: OSBP)などのソフトインフラ構築・能力開発、4)インフラを維持運営する観点からも今後も取り進めていくABEイニシアチブなどによる人材育成、5)民間企業との連携による日本の技術活用と投資促進の重要性がそれぞれ重要であるとしてJICAの取り組みを含めて言及しました。

また、アフリカの経済成長の原動力であるインフラ開発に向けたアフリカ諸国の努力を、JICAはこれからも支援し続けると述べました。特に、本会合の直前に発表された日本企業によるガーナの複合火力発電PPP案件への投資(総事業費900億円)について、JICAもアフリカの開発金融機関を斡旋するなど、オールジャパンでサポートした日本らしいインフラ支援の例として紹介し、出席者からも高く評価されました。

保健指標の改善に向けた取り組み

同じく24日、世界銀行のジム・ヨン・キム総裁、世界保健機関(WHO)マーガレット・チャン事務局長が共同議長を務め、国際保健に携わる機関の代表が参加するハイレベル会合に出席しました。昨年の国連総会以降、途上国の負担を減らすために保健指標効率化の議論が行われており、今回の会合ではその結果として保健コア指標設定についての提案が提出され、参加者間で内容を合意しました。また、田中理事長は、保健コア指標の議論を含め、今後、国際保健分野の援助プラットフォームとしてますます重要となるInternational Health Partnership Plus(IHP+)について、日本として参加予定である旨、紹介しました。

(注1)22の先進国、新興国、地域開発金融機関からなる国際的なネットワーク。グリーン・ファイナンス分野を中心に、メンバー間の相互学習、共同事業の実施や国際社会へのアドボカシーを行っている。
(注2)低炭素かつ気候変動に対して強靭な都市インフラ開発に対する資金動員を拡大するための国際的な同盟(アライアンス)。地方自治体、官民の開発金融機関、NGO、シンクタンクが加盟。