田中理事長がパレスチナを訪問

2014年11月13日

アッバース大統領(右)と会談する田中理事長(左)

JAIP管理棟の前で地元メディア(パレスチナTV)よりインタビューを受けるアリPIEFZA CEO(左)と田中理事長(右)

田中明彦JICA理事長は、11月11日から12日にかけて、理事長就任後初めてパレスチナを訪問し、要人と会談を行うとともに、パレスチナにおけるJICA事業の視察等を行いました。

11月11日、田中理事長はアッバース大統領と会談を行い、パレスチナの社会、経済の自立を目指し、和平の果実がパレスチナの人々に共有されるよう、JICAとして引き続き支援を促進していくことを表明しました。特に、2006年以降日本が進めている「平和と繁栄の回廊」構想を通じた経済発展、民生安定化、弱者支援を推進していくことを両者で確認しました。

また同日、ヨルダン川西岸地区ジェリコにある「平和と繁栄の回廊構想」の基幹事業であるジェリコ農産加工団地(JAIP)を訪問し、パレスチナ工業団地・フリーゾーン庁(PIEFZA)CEOと会談したほか、入居に関心を持つ地元企業向けの説明会も視察しました。雇用創出をはじめ、ヨルダン渓谷地域一帯の経済発展への多大な貢献が期待されるJAIPについては、パレスチナの地元企業からの関心も高いことから、国内外の投資家にとり一層魅力的な工業団地となるよう、JICAによる技術協力の継続の必要性を確認しました。

12日、田中理事長はラマッラ・フィールド事務所からのテレビ会議を通じて、今夏の紛争により甚大な被害を受けたガザ地区で活動するJICA研修員同窓会との面談を行いました。JICA研修への参加経験者で構成される同窓会は、研修の成果を生かした活動、特に復興支援が十分進まない同地区における住民への支援を現地で行っています。今年9月の国連総会での安倍首相スピーチでも言及された、パレスチナ電力庁のオサマ氏は、2011年にJICA関西実施の太陽光発電導入研修に参加した後、ガザ地区最大の病院の集中治療室に太陽光発電ユニットを導入するというJICAフォローアップ事業の実施を担当しました。同発電ユニットは、今夏の戦禍の中でも治療の継続に貢献し、現在も電力不足が続くガザ地区で電力供給を続けています。田中理事長はこのようなガザ地区の状況についてJICA研修員同窓会から直接説明を受けた後、JICAとしてできる限りの支援を実施していくことを伝えました。

田中理事長はそのほか、ハムダッラー首相、ムスタファ副首相らとの会談を実施し、12日、パレスチナ訪問を終えて日本への帰途につきました。