第3回国連防災世界会議が閉幕(1)

−より災害から安全な世界を目指し、仙台宣言と仙台防災枠組2015-2030を採択−

2015年3月20日

パネルディスカッションの様子(「防災と国際協力シンポジウム」3月14日)

3月14日より、宮城県仙台市で開催された第3回国連防災世界会議(The 3rd World Conference on Disaster Risk Reduction 2015 Sendai Japan)は、最終日の3月18日に「仙台宣言」と「仙台防災枠組2015-2030」を採択し、閉会しました。

今回の会議は、187ヵ国の代表者、および国連機関、ドナーやNGOなど、計6,500人以上が参加し(国連国際防災戦略事務局〈UNISDR〉発表による)、また、仙台市によれば、一般向けのイベント・展示への参加者を合わせると来場者数は約14万人と発表されました。各国からは防災担当者だけでなく、首脳級や閣僚が多数参加し、日本で過去に開催された国連関連会議の中でも最大級となりました。

開会式においては、安倍首相が、防災先進国としての日本の知見と技術を世界に共有し、災害に負けない「強靭(じん)な社会」を構築するための貢献策として、今後4年間で40億ドルの支援と、4万人の人材育成を行う「仙台防災協力イニシアティブ」を発表しました。

会議の最終日である3月18日には、本会議の成果として、「仙台宣言」および「仙台防災枠組2015-2030(Sendai Framework for Disaster Risk Reduction 2015-2030)」が採択されました。「仙台防災枠組」は、2005年に兵庫県で開催された第2回国連防災世界会議の成果文書である「兵庫行動枠組(HFA:Hyogo Framework for Action)」の後継枠組みであり、国際社会の防災に対する、今後15年の行動指針となるものです。

「仙台防災枠組」については、3月13日の事前準備会合から、昼夜を徹して加盟国による議論が続けられました。特に国際協力の枠組みや気候変動の影響を受けた災害に対する先進国の責任等について議論が行われましたが、最終日である3月18日に同文書を採択することができました。この中では、国際社会が取るべき優先行動として、1)災害リスクの理解、2)災害リスク管理のための災害リスクガバナンス、3)強靭化に向けた防災への投資、4)効果的な応急対応に向けた準備の強化と「よりよい復興(Build Back Better)」、の四つの柱が掲げられています。

この「仙台防災枠組」の中に、防災投資、よりよい復興、防災の行政能力強化、リスク削減のためのインフラ整備、リスクを正確に知るための調査や啓発活動など、JICAがこれまで進めてきた防災支援の考え方、方針が多く含まれたことは大きな成果の一つです。

また、本会議場である仙台国際センターでは、今後の重要なテーマについて各国がステートメントの発表を行うプレナリー会合、各国閣僚クラスが参加し議論する閣僚級円卓会議、そして、HFAの進ちょく、成果の共有や、防災と経済、災害弱者の参画、災害に強い学校など、防災の主流化を進める上で重要なテーマに対する取り組みを協議する合計34のワーキング・セッションが行われました。

また、一般の方も参加できるパブリック・フォーラムと展示が仙台市内各所で行われ、さまざまな団体の活動の発表と経験の共有が行われました。さらに、各国からの参加者向けに、東日本大震災の被災地の復興の状況と教訓を実際に見てもらうため30コース以上のスタディ・ツアーが組まれ、多くが定員いっぱいで実施されました。

今後、JICAは「仙台防災枠組」と「仙台防災協力イニシアティブ」を踏まえ、日本の今後の貢献策を着実に進め、世界の防災体制の強化を通じて強靭な社会づくりに貢献していきます。