田中理事長がトルコを訪問 −地域の成長と安定に重要な役割を果たすトルコに対し更なる支援を表明−

−地域の成長と安定に重要な役割を果たすトルコに対し更なる支援を表明−

2015年5月19日

「地方自治体インフラ改善事業」E/N及びL/A調印式典(左から横井大使、ギュリュジェ大臣、田中理事長)

調印式典で参加者を前に挨拶をする田中理事長

田中明彦JICA理事長は5月14日から16日にかけてトルコを訪問し、円借款「地方自治体インフラ改善事業」の交換公文及び貸付契約の調印式典に参加したほか、イドリス・ギュリュジェ環境都市整備大臣をはじめとする要人との会談やJICA事業の視察等を行いました。

2011年から続くシリア内戦以降、多くのシリア人流入の影響を受けたトルコの地方自治体では、上下水道や廃棄物処理等にかかわるインフラの劣化などにより、それに伴う行政サービスの低下が問題となっています。「地方自治体インフラ改善事業」は、政府系金融機関であるイルラー銀行を通じて、地方自治体に対してインフラ整備に必要な長期資金を供与することによってインフラ改善を図ることを目的としています。首都アンカラで開催された調印式典には、イルラー銀行の監督官庁である環境都市整備省からギュリュジェ大臣の他、多くのトルコ政府高官やイルラー銀行幹部が参加しました。日本側からは横井裕駐トルコ特命全権大使が出席しました。式典の挨拶で田中理事長は、世界で最も多くのシリア避難民を受け入れて地域の安定化に重要な役割を果たしているトルコに対して敬意を表するとともに、本事業をトルコとJICAによる新たな挑戦と位置付け、人間の安全保障や平和構築の観点からも重要との見解を示しました。

この式典に先立って行われたギュリュジェ環境都市整備大臣との会談で、大臣からは「地方自治体インフラ改善事業」に関する円借款の供与に対し感謝の意が表明されるとともに、本事業はトルコと日本の友情の証であり記憶に深く残ると発言がありました。これに対して田中理事長は、多くのシリア人を受け入れた地方自治体の現状を踏まえ、同大臣が本事業の実現に向けて発揮したリーダーシップを高く評価しました。

また田中理事長は、トルコを取り巻く国際情勢についてトルコの学識経験者と意見交換を行った他、トルコで活躍する日系企業や日本の研究機関の関係者とも面談し、経済及び学術等の様々な分野で両国が強固な関係を築いてきたことを改めて確認しました。

多くの車輌が通過する第2ボスポラス橋を視察

イスタンブールに移動した田中理事長は、円借款によって建設された第2ボスポラス橋及びボスポラス海峡横断地下鉄(マルマライ)を視察しました。ボスポラス海峡をはさんでヨーロッパ側とアジア側に都市が分断されているイスタンブールでは、海峡間での交通の円滑化がオスマン帝国時代以来の大きな夢でしたが、2つの円借款事業によって自動車及び鉄道による自由な移動が可能となり、トルコの夢が実現しました。理事長は両事業がイスタンブールの経済活動の発展に大きく寄与している状況を確認しました。

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