田中理事長がキューバを訪問し、更なる人材育成の推進等を表明

—セントルシアでは、ボランティア派遣20周年式典に参加—

2015年7月17日

セントルシアJICAボランティア派遣20周年記念式典にて主催者挨拶をする田中理事長

田中明彦JICA理事長は、7月8日から15日にかけて、セントルシア及びキューバを訪れました。両国が位置するカリブ地域へは初の訪問となります。セントルシアでは、アンソニー首相と面談したほか、セントルシア・ボランティア派遣20周年記念式典に出席しました。キューバでは、ムリージョ閣僚評議会副議長兼経済企画大臣をはじめとした政府要人と面談を行ったほか、ハバナ大学において「JICAによる対キューバ協力‐人的資源開発に焦点を当てて‐」をテーマとした講演を行いました。

JICAは、セントルシアへ20年間にわたりボランティアを派遣し、社会福祉の強化に向けた人材育成や障がい者の社会参加促進支援などの協力を推進してきました。ボランティア派遣20周年記念式典は、アンソニー首相、ピエリー副首相、ルイス教育・人材開発省大臣、ダルソン社会改革・地方自治・社会活性化大臣が臨席の下、JICAボランティアの受入れ担当機関職員、以前にJICA研修に参加した元研修員など120名の参加を得て開催されました。式典でアンソニー首相は、教育や社会福祉・環境など多岐に渡るボランティアの貢献を高く評価するとともに、引き続きのボランティア派遣に強い期待を表明しました。また、田中理事長はセントルシアの人々によるボランティア事業への深い理解と協力に謝意を表明しました。

キューバでは、田中理事長はムリージョ閣僚評議会副議長兼経済企画大臣と面談し、米国との国交回復が決定されて間もないキューバの社会経済状況、農業やエネルギー分野等の課題や、経済モデル刷新の取り組みについて意見交換を行いました。ムリージョ大臣は、これまでのJICA協力への高い評価が述べるとともに、従来の農業、環境保全、保健医療の分野に加えて、キューバの開発課題に対応すべくエネルギー、運輸交通、投資促進など、新たな協力分野の重要性について言及しました。これに対し、田中理事長はキューバの発展のために今後も必要な協力について議論を続けていきたい旨を述べました。

ハバナ大学サンヘロニモ校で講演をする田中理事長

また、田中理事長はハバナ旧市街に位置するハバナ大学サンヘロニモ校において、150人近くのキューバ政府、大学、開発援助機関、日系社会の関係者等を前に、講演を行いました。講演では、JICAのキューバに対する協力の重点として、食料増産、環境保全、保健医療分野における官民連携という3つの分野を中心とした支援を展開していることに触れました。また、今後はキューバの発展を支える人材育成に対する協力を一層推進すべく、日本が有する高い技術や長年のノウハウを提供しながら、新しいイノベーションを共に創造していく協力を目指していくことを表明しました。これを具体化させるため、JICAが、日本への研修及び招聘人数を従来から倍増させ、今年から5年間にわたって毎年60名、合計300名のキューバ政府関係者を日本へ招き、キューバが抱える開発課題の解決策を共に考える機会を提供する予定である旨を説明しました。