第4回年次フォーラム(2023年1月19日)報告

要約

第4回年次フォーラムは、「共創に向けた情報・経験の共有」をテーマとした。

1.JICAからの報告

(1)2022年度のJiPFA活動報告及び、2023年度により会員が意見や情報交換を行う体制を発表した。
(2)昨今課題となっている食料安全保障について、特にパンデミックや政情の影響を受けやすいアフリカを対象としたJICAアフリカ食料安全保障イニシアティブの概要を紹介した。

2.JiPFA会員様からの先行事例の紹介

JiPFA会員様(株式会社アセンティア・ホールディングス様、株式会社太陽油化様)より、JICA留学生や様々な単体の交流に関する実体験に基づき、他の会員様にも活用いただける海外展開における模倣可能なポイントを紹介いただいた。

3.JICA筑波の農業共創ハブ紹介、同ハブのパートナー団体のビジネスマッチング参加の紹介

JICA筑波が運営する農業共創ハブの機能のうち、ビジネスマッチングについて最新情報を紹介した。また、同ハブのパートナー団体、NPO法人未来の担い手支援機構様より、ビジネスマッチングセミナーにソーラーシェアリングシステムを出展したことで得た知見やJICA研修員等との交流関係の構築のきっかけの紹介、アイデアをプロジェクト化するために、JiPFA会員の皆様からの助言や共同作業を歓迎する旨、発表いただいた。

開会挨拶

JICA上級審議役 窪田修

コロナ禍に加え、国際紛争等による世界的なサプライチェーンの寸断が生じた。特に途上国において、食料安全保障が脅かされる状況が発生している。アフリカでは、穀物やエネルギーの輸入に支障が生じ、肥料価格の高騰や、流通、物価高などによる新たな食料安全保障の問題が生じている。このような情勢であるからこそプラットフォームの原点である「食と農の分野における知識・経験を分かち合い、交換し合う場」としての機能が重要であり、より強化行していきたい。

第一部 JICAからの報告

(1)JiPFAの2022年度活動報告と今後の方針

JICA経済開発部 計画担当次長 森口加奈子

設立の趣旨である「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けて、国内の産学官関係者が途上国及び日本の課題解決のための活動を促進することに立ち返ることとしたい。

1)JICAによる各種調査の報告(JiPFA分科会で発表)、2)(留学生)大学連携プログラム、3)課題別研修の各種発表会(インセプションレポート、アクションプラン等)の案内、4)JICA筑波の「農業共創ハブ」の案内、5)JICAの中小企業・SDGsビジネス支援事業に参画している企業からの事例紹介等を継続して提供していく。

現状では、コロナ禍による対面での連携の機会の喪失、現場活動の制約による新鮮な情報提供が困難であり、JICA及び会員からの情報発信の機会が十分ではなかった。

情報の共有を始めとするJiPFAへの期待、現実とのギャップを埋めるために、会員に対し改めてアンケートを実施する。アンケートの結果を、会員の情報・知見の収集、蓄積の効率化、また将来の共同活動の事例を産み出していくことに活用したい。

2023年度は本アンケート結果を分析、フィードバックし、異業種共同による製品・サービスの将来的な共創の事例となるきっかっけを考えていきたい。

(2)JICA食料安全保障イニシアティブ(アフリカ食料危機への対応)

JICA経済開発部 農業・農村開発第二グループ長 天目石慎二郎

1)食料安全保障の昨今の背景

現在の食料安全保障問題は2007、2008年度の食料危機以来15年ぶりの事象である。約7~8億人が飢餓に直面しておりコロナ前より食料危機の人口が1.5億人増加した。特にアフリカでは低栄養人口が急増している。

国連事務総長はウクライナ危機により危機的、もしくはより深刻な急性食料不安に直面する人口の急増を指摘した。アフリカの国々の多くはロシア、ウクライナの穀物の依存度が高く黒海穀物イニシアティブ合意後も穀物輸出、食糧価格は侵攻前に戻っていない。各国の食料の輸入コストが増加し、輸入依存からの転換が必要である。

2)昨今の背景を踏まえたJICAの対応

緊急・短期的措置として、アフリカ等脆弱国・地域に対する農業生産を可能とするための支援(肥料等投入財他)が、中・長期的対応は食料輸入に過度に依存せず、リスクに対応できるレジリエントな農業への転換(国、組織、農家)が求められる。

これら緊急措置、中長期的対応の具体的方策として、「JICAアフリカ食料安全保障イニシアティブ」を立上げ、食料安全保障の4つの視点から、1)食料生産(Availability)、2)農家の育成・民間農業開発(Access)、3)栄養改善(Utilization)、4)気候変動対策(Stability)の支援を展開し、2030年までに約2.5億人分の必要エネルギー(相当)の食料生産と27万人の栄養改善、2025年までに20万人の農業人材の育成への貢献を目指している。

第二部(1)JiPFA会員様による先行事例紹介

株式会社太陽油化 専務取締役 石田洋平様
株式会社アセンティア・ホールディングス 取締役 松本信彦様

JiPFAが掲げる共創を既に実践してきたTOKYO8グローバルが得た知見を紹介いただいた。

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株式会社太陽油化 石田様

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株式会社アセンティア・ホールディングス 松本様

第二部(2)農業共創ハブの最新情報の紹介、ビジネスマッチングの取り組み

JICA筑波 研修業務課 片野健太郎

第二部(3)農業共創ハブのパートナー団体様による海外展開を志したきっかけの紹介

NPO法人未来の担い手支援機構(NPOみらいて)理事長 石橋卓郎様

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NPO法人未来の担い手支援機構 石橋様

ビジネスマッチングセミナーへの出展を通じ、JICA留学生、研修員との意見交換から、3人の研修員の母国の農村地域の課題解決に資する計画づくりを、帰国した研修員と始めた経緯などを紹介いただいた。

閉会挨拶

JICA経済開発部部長 下川貴生

登壇者の皆様、フォーラムにご参加にいただいたJiPFA会員の皆様に感謝申し上げる。今後JiPFAを産学官の知恵を分かち合い、交換していく場としていきたい。筑波の農業共創ハブにあるように途上国人材とのビジネスマッチングを続けていくとともに、会員の共創に資する情報を発信していく。