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エジプト ― 注目分野(教育分野)

(最終更新:2026年3月)

エジプトで広がる「日本式教育」!

幼児教育から高等教育まで―エジプト・日本教育パートナーシップ(EJEP)

2016年、エルシーシ大統領の訪日時に、エジプト・日本両国首脳共同で「エジプト・日本教育パートナーシップ(Egypt-Japan Education Partnership, EJEP)」が発表されました。EJEPの傘下において、幼児教育から基礎教育、技術教育、高等教育に至る幅広い教育段階に、日本の教育プログラムを導入する協力プロジェクトを実施しています。
同取り組みについて、エジプトのエルシーシ大統領の安全保障担当補佐官であり、EJEPコーディネーター、E-JUST理事会議長も務めるファイザ・アブルナガ大統領補佐官と、JICAの井本佐智子理事(当時)によるインタビュー記事も併せてご覧ください。

エジプトにおける教育セクターの現状とJICAの協力

2016年に発表されたエジプトの長期国家戦略Sustainable Development Strategy: Egypt Vision 2030では、経済開発、市場競争力強化、人材開発、市民の幸福の4つを達成すべき目標としており、この達成のため、教育の量・質の向上、人材育成が重要課題と位置付けられています。
教育については、2030年までに質の高い教育へのアクセス確保が目標として掲げられており、具体的には、教育の質向上、非識字率の減少、就学前教育の就学率向上、TIMSS(国際数学・理科学力比較調査)順位上昇などが記されています。更に、教育によって個人の能力、自信、啓発、創造性、相互理解等の統合した人格形成に貢献することを記し、非認知スキルの能力強化を示唆する内容が含まれています。

これに対して、JICAでは、就学前教育から高等教育まで、あらゆる段階における協力を展開しています。

〇就学前教育「就学前の教育・保育の質向上プロジェクト」

エジプトでは、保育園在園率の低さが課題となっており、その背景として、幼児期保育の重要性に対する認識不足、家庭貧困による保育料支払能力の不足、保育士の能力不足、地方行政 の調整不足等が挙げられています。これに対して、2017年より技術協力を通じて、子どもの興味や関心を重視した「遊びを通じた学び」の実践を通じた保育の質の改善を目指しています。

〇基礎教育「エジプト・日本学校(EJS)」

現在、エジプトでは一般的に、学力偏重の詰め込み型教育が一般的となっており、社会性・協調性・規律といった非認知能力の教育に課題を抱えています。これに対してエジプト政府は、これまでの知識偏重の学校教育から脱却し、豊かな人間性をはぐくむ教育への転換を目指しています。その一環として、2016年のEJEPのイニシアティブのもと、特別活動(特活)をはじめとする「日本式教育」の特徴を取り入れた公立学校「エジプト・日本学校(EJS)」の設置を進めています。

〇技術教育「技術教育改善プロジェクト」

エジプトでは若者の失業率が高く、中でも技術高校卒業者の失業率が高いことが課題となっており、その背景として、卒業者の人材が産業界のニーズに合致していないことが挙げられています。これに対して、日本式技術教育の特色のひとつである規律ある学校生活を取り入れた学校運営、生徒の基礎的なハード・ソフトスキルの改善を目的とし、2021年まで、技術教育プロジェクトが実施されました。

※エジプトでは、高校生(Secondary school)レベルから、普通教育と技術教育の2トラックに分かれるのですが、技術高校は全国で3,000校ほど存在し、昨今、政府はその校数を増やしています。また、技術高校のうち応用技術高校(Applied Technology School, ATS)と呼ばれる企業が運営する技術高校も存在(約80校)しており、ATSの代表的な例はEl Araby, El Sewedyといったエジプトの大手企業により運営されています(上記プロジェクトにおいてJICAはこの2校にも協力を実施しました)。現在、エジプト教育・技術教育省はATSに関与する民間企業の裾野を広げたいという意向を持っており、日系企業の参画にも強い期待が寄せられています。

〇高等教育「エジプト・日本科学技術大学(E-JUST)」

エジプトでは、人口増加に伴い、大学における教員1人当たりの学生数が増加しており、教育の質の低下が顕在化しています。特に工学部においては実験・実習機材の不足から座学による講義形式の教育が中心であり、実践的・先端的な教育を実現している大学は限定的となっています。かかる状況に対応するため、エジプト政府は既存の国立大学とは異なる日本型の工学教育の特徴「少人数、大学院・研究中心、実践的かつ国際水準の教育提供」をコンセプトとするE-JUSTの新設の支援を要請しました。E-JUSTは工学系大学院として2010年に開学し、現在は同専攻に加えて、国際ビジネス・人文学系での教育・研究、学部も設置されています。現在はアフリカからの留学生を含め、約5,000人の学生が学んでいます。
E-JUSTは2024年Times Higher Education Rankingにおいてエジプト1位の大学となり、現在も積極的に日本・アフリカの大学や、企業との共同研究を進めています。

〇高等教育「エジプト日本高専プロジェクト(EJ-KOSEN)」

「高等専門学校(通称:高専、KOSEN)」は、中学校卒業後の15歳の学生を受け入れ、5年間にわたり、研究や実験に重点を置いた実践的な工学教育を提供する高等教育機関です。実践と理論双方を兼ね備えた技術者の育成を実施すべく、エジプト政府より、日本式高専の導入に関する要請が提出されました。2024年6月より新たに技術協力が開始され、2025年9月には、10th of Ramada市にて、49名を一期生に迎え、EJ-KOSENが開校しました。同校では、ICTおよびメカトロニクスを主としたカリキュラムが導入されており、今後、日本の国立高専と同質の教育を保証するため、国立高専教育国際標準(KIS)認定取得を目指しています。

民間連携のニーズ

人口増加や従来の詰め込み型教育による教育の質低下への対応策として、エジプトのカリキュラムに沿いながらも教育の質向上に貢献しうる事業や上記のJICAの既存案件との連携が見込まれる日本式教育の導入について期待されます。なお、EJSにおける日本式教育に関するビジネスについては、学校数が拡大する中で、最終的にはEJS全体に裨益するアイデアが求められており、ビジネスの実験場として広がりのある場であると考えられます
そのほか、上述の技術教育との連携、EJ-KOSENやE-JUSTのリソースのご活用も検討いただき、エジプトの高等教育機関との産学連携についても積極的な検討をお待ちしております。

エジプトでは、これまでも教育分野でのJICA Biz採択実績を有しています。

事例―キャスタリアによるプログラミング教育

Education 2.0の目指す21世紀型スキル育成支援及びICT人材育成基盤の強化のため、オンラインプラットフォームを通じた教材の提供や、現地企業と教育プラットフォームを活用した学習塾のフランチャイズ展開を検討しました。

事例―ヤマハによる日本型音楽教育の導入

リコーダーの導入を通じた日本型教育をトライアル実施し、器楽教育が生徒たちの非認知スキルに与える影響を測定する手法を検討し、非認知能力の向上とともに楽器演奏人口拡大によるビジネス展開を画策しました。

事例―サラヤによるE-JUSTとの共同研究

株式会社サラヤはホホバオイルの化粧品や果実防腐剤、虫よけ、医薬品向けの製品開発について、E-JUSTとの共同研究を進めてきました。