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海外移住資料館について

はじめに

日本人の海外移住は、1866年に海外渡航禁止令(鎖国令)が解かれてから、すでに150年以上の歴史があります。ハワイ王国におけるサトウキビ・プランテーションでの就労に始まって、アメリカ合衆国、カナダといった北米への移住、そしてその後1899年にはペルー、1908年にはブラジルへと日本人が渡ります。そして、1924年にアメリカで日本人の入国が禁止されると、大きな流れが北米から南米へと移っていきます。その結果、第二次世界大戦前には約77万人、大戦後には約26万人が移住しています。

その結果、現在は全世界に380万人以上(2021年)の海外移住者や日系人がおり、そのうち220万人以上が中南米諸国に在住していると推定されています。
また、かつて日本人が移住した国々から、その子孫である日系人とその家族を含めて約21万人(2017年)が、就労や勉学の目的で来日し、日本で生活しています。こうした経緯から、日本人の海外移住の歴史、そして移住者とその子孫である日系人について、広く一般の方々(とくに若い世代)に理解を深めてもらうことを目的として、海外移住資料館が開設されることになりました。

当資料館は、海外移住の起点となったハワイを含む北米と、JICAが戦後、移住事業の一翼を担った中南米の国々を主たる対象とし、海外移住に関する歴史的な資料を展示しています。

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移住地の造成(パラグアイ・ピラポ、1960年代)

開設経緯

開設に先立ち、海外移住資料館ではその約3年前から調査活動を進めてきました。具体的には、類似機関である全米日系人博物館(アメリカ・ロサンゼルス)や、ブラジル日本移民史料館(ブラジル・サンパウロ)、日系関係資料を所蔵する大学や公共機関、あるいは現地の日系人団体等から情報を入手しました。そして、直接個人や団体に対して資料をお持ちでないかを尋ねて回り、寄贈及び借用の交渉を行いました。こうして開館までに収集した資料は約12,000件にのぼります。

これに加え、資料館の母体である国際協力機構がすでに所有していた図書、写真・映像・音声類も4万件近くありました。

なお、開館からこれまでの沿革については下記リンク先をご覧ください。

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海外移住資料館 基本理念「われら新世界に参加す」

所蔵資料

資料は大きくわけると4種類あり、古いものは、1860年代にまでさかのぼります。例えば、「御免の印章」という今日のパスポートに相当するもの(複製)などがあります。具体的な4種類の資料は下表のとおりです。

種別 件数 備考
文献・図書類 20,000件
アーカイヴ類 5,000件 名簿、旅券、身分証明書、契約書や証書、新聞、会報、報告書、教科書等
写真・映像・音声類 10,000件 写真、ネガ、ポジ、ビデオフィルム、カセットテープ、レコード類
標本類(物品) 2,000件 移住者の人たちが移住先国へ持参した行李やトランク、日用品、移住先国で使った農機具や漁具、太鼓や野球用具など、娯楽に関する用品等

2006年1月現在。整理中を含む

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アマゾン移住50周年記念メダル(ブラジル、1979年)

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頼母子講の札(ブラジル)

展示構成

常設展示の構成は、大きく分けて5つに区分されます。展示資料数は約1,500点です。詳しくは常設展示のページをご覧ください。

館長

大野 裕枝(JICA横浜 所長)

特別監修

梅棹 忠夫(故人)(国立民族学博物館初代館長)

学術監修

阪田 安雄(大阪学院大学国際学部)

中牧 弘允(国立民族学博物館民族文化研究部)

山本 匡(国立民族学博物館博物館民族学研究部)