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実施レポート&活用のポイント「JICA国際協力出前講座」 ~高槻高等学校の事例~

JICA関西では、開発教育支援事業の一環として、学校や地域の皆様を対象に、国際協力への理解と参加の促進を目的とした以下のプログラムを通年で実施しています。
JICA関西訪問プログラム
JICA国際協力出前講座
来日行政官・技術者との交流
これらのプログラムは、学校や市民団体など、国際協力への学びを深めたい団体であれば、どなたでもご利用いただけます。「何ができるの?」「実際やってみてどんな感じなの?」といった疑問にお答えするため、ここでは「JICA国際協力出前講座」を活用した高槻高等学校の事例を、準備段階から当日までの流れや工夫とともにご紹介します。

【実施レポート】

申込から実施当日まで

大阪府にある学校法人大阪医科薬科大学・高槻高等学校では、毎年2年生を対象に、パラオでの海外研修を実施しています。今回、渡航前の課題研究として「JICAの先生に聞いてみよう」をテーマにパラオをはじめとする大洋州各国で活動した3名のJICA海外協力隊の経験者による出前講座に申し込まれました。
生徒の関心分野(保健、環境、教育)に沿った講師を依頼するため、通常の申込締切(1か月前)よりも早い約3か月前にお申し込みをいただきました。
地域や専門分野を限定した講師選定であったことから、講師決定までに2か月半を要しましたが、その後は講師と学校が事前に打ち合わせを行い、当日の授業内容を丁寧に巡視していきました。

出前講座当日

講座当日、講師となるJICA海外協力隊経験者の3名は、授業開始20分前に高槻高等学校に到着。担当の先生に会場となる図書室に案内していただき、出前講座の段取りについて説明を受けました。

「JICAの先生に聞いてみよう」
前半:3つのグループに分かれての聴講

授業冒頭、担当の先生から本講座の趣旨説明が行われた後、3つのブースに分かれて3名の「JICAの先生」による出前講座が始まりました。

ブースA:益井博史さん(ソロモン/青少年活動) ~「わくわく」を求めて協力隊に

「ビブリオバトル(※)」に魅せられ、図書館に入り浸っていたときに出会ったJICA海外協力隊経験者からの「協力隊に行ってみたら『わくわく が見つかるかもよ」という一言でソロモンに行った益井さん。派遣先のソロモンでは本を読もうにも書店が一軒も無くて困ったことや、自宅屋外のコンセントから自由に電気を使われてしまうなど、価値観がひっくりかえるような「わくわく」する経験をしたとのこと。そして、益井さんは本が身近にないソロモンで本を読む楽しさを知る「ビブリオバトル」を広める活動を展開しました。いろいろな事で壁にぶつかってきた自分自身を「しくじり隊員」と揶揄しながらも、そうした「わくわく」の経験を積んだ益井さんの話はとても刺激的で生徒のみなさんの心に残ったと感じられました。
※自分が推薦する本を紹介し、参加者全員で「最も読みたくなった本」を投票で決める書評ゲーム

ブースB:圓 知愛子さん(パラオ/栄養士) ~日本語に似たパラオ語、そして野菜の少ないパラオって?

「Alii」とパラオ語のあいさつから始まった圓さんのグループ。渡航を2週間前に控えた生徒がとても気になっているパラオの言葉を紹介し、日本語によく似たパラオ語もあることにも触れ、日本と歴史的に深いかかわりのあるパラオでは言葉にも名残があるのだと学びました。そして、コロナ禍をきっかけに学校に行きにくくなった子供たちに、学校に来てもらうための朝給食の活動など、元々野菜が少ないという課題を持つパラオで、栄養士として取り組んだ圓さんの様々な活動について話しました。パラオの夕日が大好きな圓さんは地産地消の大切さや食べ物への感謝の気持ちを忘れないでと語りました。

ブースC:木村 匡さん(JICA国際協力推進員/サンゴ礁の研究保全専門家) ~美しいパラオの海、サンゴ礁・マングローブの保全のために

スキューバーダイビングのメッカであるパラオの海。木村さんはトンガでのJICA海外協力隊員として活動後、パラオでもJICA専門家としてサンゴ礁の保全プロジェクトで活動した経験があります。パラオは人口が少ないこともあり、まだまだ汚染されていない美しい海を保つことができていますが、自生するマングローブやサンゴ礁によって海がどのように守られているのかなど専門的な知見を交えて紹介しました。また、現地で最も大切だったのはコミュニケーションとのこと、インターネットでは入手しにくいパラオの情報を木村さんの講座を通していろいろ学べたのではないでしょうか。

後半:全体で「JICAの先生に聞いてみよう」
質疑応答とJICAの先生からのメッセージ

後半は3名の「JICAの先生」に対して生徒からの質疑応答とメッセージタイムとなりました。司会進行役の生徒が「活動中の衝撃エピソードは?」「外国で住む時、その国の価値観をどうやって自分に取り込みますか?」などの代表質問を3名に投げかけました。更にその答えに対して、深堀する質問を投げかけるなど、前半の講義の理解をさらに深める充実した時間となりました。

最後に3名のJICAの先生からパラオ海外研修に行く生徒たちに「事前に調べた内容と現地でのギャップを楽しんで」や「パラオの素敵な夕日、朝日を見てきてくださいね」などエールを送りました。

【活用のポイント】

今回の事例から、出前講座における活用のポイントを以下のとおりまとめました。

①3か月程度の余裕を持って申し込む
地域や専門分野を指定する場合は講師選定に時間を要します。余裕を持った申し込みが希望に沿った講師紹介につながります。

②目的やねらいを明確にする
今回は、一年を通じた探究活動の一環として、パラオでの海外研修に先立つ事前学習という位置づけで、出前講座を依頼いただきました。生徒の皆さんが海外研修での課題研究をより深めることがねらいです。目標やねらいが明確な出前講座では、より効果が上がります。

③事前学習・事後学習を実施する
出前講座「JICAの先生に聞いてみよう」の事前学習として、生徒の皆さんは講師の専門分野に関する調べ学習をされました。講義後には学習記録シートを記入し、振り返り学習を通じて、学びを深められました。

④講師と密な連絡を取り、生徒に伝えてほしいメッセージを明確にする
講師が確定した段階で、担当の先生は講師と密に連絡をとり、出前講座のねらいや当日のプログラムをしっかりと伝えてくださいました。ねらいが明確になることで、講師の講座内容の方向性もより具体的になります。


「JICA国際協力出前講座」を生徒の皆様のより深い学びに繋げられるよう、このレポートを参考にしていただけると幸いです。お申し込みをお待ちしています。

関連リンク
JICA国際協力出前講座