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【民間企業×SDGs】社員一丸となってSDG推進-株式会社田中の取り組み-(前編)

#13 気候変動に具体的な対策を
SDGs

2021.09.22

株式会社田中の山下さん
同社の天然素材繊維シートの前で

近頃新聞やTVでよく見かけるSDGs。電車や街の中で、胸元にキラリと光るSDGsバッジを付けている人を見かける機会も多くなってきました。
そして、関西でもこのSDGsに取り組む企業が増えていることをご存知ですか?
SDGsについて少しでも身近に感じていただけたらと思い、JICA事業をご活用くださっている企業の中から、SDGsに取り組まれている事例を紹介します。

創業1953年。国内各地で防災・減災に貢献

今回お話を伺ったのは、大阪府泉大津市に本社と工場がある「株式会社田中」です。1953年の設立以来、土木工事向けの繊維資材を製造・販売し、同社の商品は大雨による河川の氾濫の抑制や、堤防被害箇所の緊急対策・復旧などで活躍しています。長年にわたって国内の様々な公共工事に従事する過程で数多くの製品知識や施工技術を習得する中で、海外への発信も検討するようになったそうです。そうして培ったノウハウを海外で活かしたいとの想いから、2020年3月より、JICAの中小企業・SDGsビジネス支援事業「既設道路の陥没の原因となる降雨浸透水を排除する機能性を有した排水シート敷設の案件化調査」をカンボジアで実施しています。
今回、社内のSDGs推進を担当する近藤さんと山下さんにオンラインでお話を伺いました。2回にわたりお届けします。

【画像】

SDGsに取組むきっかけ

JICA関西:何をきっかけにSDGsに取り組まれるようになったんですか。

株式会社田中:直接的なきっかけは、カンボジアで実施中のJICA事業により、弊社が「JICA-SDGsパートナー*」に認定されたことでした。弊社は防災・減災関連の事業を展開しており、また製品の原料としてリサイクル繊維やヤシ繊維を使用するなど、社会貢献や環境保全につながる事業を行っています。そのことは従業員全員がよく理解しているのですが、SDGsとの関係についてはほとんど知られていなかったように思います。ところが、SDGsパートナー認定がきっかけで、カンボジアでの案件のみならず弊社の事業全体とSDGsとが深く結びついていることに気づいたのです。社長からSDGsに腰を据えて取り掛かるようにと言われ、タスクフォースを立ち上げました。

JICA関西:タスクフォースの役割についてお聞かせいただけますか。

株式会社田中:2020年10月~2021年4月にかけて、9名のメンバーが5回集まり、我が社としてSDGsにどのようにして取り組めばいいか、毎回テーマを決めて意見を出し合いました。第4回の打合せでは「SDGs実現に向けた今後の株式会社田中のゴール検討」を議論し、幅広いアイデアがたくさん出たので、それらを「短期的に取り組むもの」「中長期的に取り組むもの」「現在取り組み中で今後展開・強化するもの」に分け、最終的には経営会議で提言の形にして発表しました。その結果、会社全体でSDGsに持続的に取り組み社内外に情報を発信していけるよう「SDGs推進事務局」を設立することが決定されました。

カンボジアでの調査の様子

タスクフォースの結果報告書
経営幹部に提言を行いました

JICA関西:組織的に取り組まれているのですね!どのようなリソースを活用されましたか。

株式会社田中:環境省の「持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド」や民間シンクタンクのガイドを参考にしながら、私(近藤)がタスクフォースの会議の議題や進め方を考えました。SDGsについてのメンバーの理解度はバラバラだったため、まずはSDGsとは何かについて知るところからスタートし、事例紹介を含むオリエンテーションを実施しました。
すると、40年も前から展開している自社事業が防災や災害対応関連、リサイクル原料の活用などといった観点でSDGsに貢献しており、環境保全を大切にする社員の価値観もSDGsの活動と親和性が高いことを改めて認識でき、想像以上に活発な議論になりました。

SDGsを社内に浸透させる「コツ」とは?

JICA関西:タスクフォースのメンバーはどのようにして募られたのですか。

株式会社田中:各部署長に任命してもらったところ、組織横断的に年齢も性別も多様なメンバーが集まりました。当初私が危惧したことが、「やらされ感」が出ないかということでした。もしかすると当初はそういう部分もあったかもしれませんが、徐々にメンバーそれぞれが積極的に、また楽しみながら参加するようになり、結果的に良い取り組みになりました。その後、SDGs推進事務局の開設が決まり、メンバーを募ったところ、今度はタスクフォースメンバー全員が自薦で応募してくれ、スムーズに決まりました。

JICA関西:コロナ禍にあってコミュニケーションをとることが困難な中で、素晴らしいですね!

株式会社田中:そうなんです。地方の営業所からも参加してもらい、とても前向きな取り組みとなりました。取り組みを進めるなかで気づいたのが、SDGsは日本から遠いニューヨークの国連本部で採択された国際目標なのに、誰にとっても「自分事」として考えられる目標だということです。例えば、「自社事業や日頃の(個人の)行動がSDGsとどう紐づいているか」について議論した際は「え、君、WWF(世界自然保護基金)に寄付してんのん?!」といった、お互いについての新たな発見もありとても盛り上がりました。同じようにして自社の事業とSDGsの紐づけもできるようになりました。

JICA事業をきっかけに始まったSDGsの取り組み。SDGsに取り組んだ結果、株式会社田中はさまざまな「メリット」に気づいたそうです。詳しくは後編でお聞きしていきます。

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*JICA-SDGsパートナー:日本国内に拠点を置いており、JICA(原則として本部・国内機関)と契約または協定書・覚書等の締結の関係を有し、SDGsの達成に向けて取り組んでいる団体

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