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- 日本での学びとその後~カザフスタン帰国研修員が日本で得た知見・経験をもとに博士号取得へ
所属先:カザフ観光国営会社
名前(ふりがな):セルジャヌリー・ダニエル
研修コース名:中央アジア地域広域観光開発政策
研修期間:2023年9月4日から10月31日まで
(遠隔研修:9月4日~9月7日、来日研修:10月10日~10月31日)
JICA関西は和歌山大学協力のもと「中央アジア地域広域観光開発政策」コースを実施しています。この研修では、日本における地域の資源を活かした観光開発や複数の自治体に跨る観光振興の優良事例を学び、シルクロードを国土に有する中央アジア5ヶ国での連携した観光開発の可能性及び具体的な施策についての議論を行っています。
2023年度に本研修にカザフスタンから参加者したダニエルさんから嬉しいお便りが届きましたので、ご紹介します。
ダニエルさんは2025年度の大阪・関西万博、カザフスタンパビリオンでの観光イベント時にカザフスタン代表としてスピーチをされる等、これからご紹介する取り組み以外にも精力的に活動されています。
JICAの「中央アジア地域広域観光開発政策」コースにおける私の経験(2023年)
2023年秋、私はJICAの課題別研修「中央アジア地域広域観光開発政策」に参加しました。このプログラムはJICA関西と和歌山大学が協力して計画・実施した研修で、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンの5か国から10名の参加者が集まりました。
この研修は地域の視点から観光開発を探求する絶好の機会となりました。フィールドワークにおいては、熊野古道や高野山等の日本の優良事例である観光地を訪問し、座学においてはデスティネーション・マネジメント(観光地の運営・管理)、文化遺産の保護、観光人材育成について知識を深めました。
私がこの研修に期待していたことは、日本の多層的なデスティネーション・マネジメントモデルを深く理解することでした。実際にこの研修において、日本の省庁による取り組みから、広域DMO※(Destination Management Organization)の取り組み、地域コミュニティによる観光地運営の在り方まで、幅広いレベルでの観光地経営について学びを深めることができ、非常に貴重な研修となりました。
プログラム終了から1年が経って、私は日本モデルを世界のベストプラクティスの基準として、デスティネーション・マネジメントに焦点を当てた博士研究を開始しました。現在、私は和歌山大学国際観光学研究センターの客員フェローとして探求の旅を続けており、私が受講した研修の講師であった八島教授が私の副指導教員です。
熊野古道での思い出の一枚
ツーリズムエキスポジャパンでの様子
帰国後のダニエルさん
JICAの研修プログラムに参加したことは私の専門性の向上 にも重要な役割を果たしました。プログラム参加時、私はカザフ観光国営会社のマーケティング担当常務取締役を務めていました。その後、同社の副会長となり、そして現在は会長として従事するに至っています。
日本で得た知見に基づき、私はカザフスタンでのデスティネーション・マネジメントシステムの開発を積極的に推進し、中央アジア全体での地域協力を促進しています。また、JICAの帰国研修員フォローアップ協力事業を通じて、地域の観光当局を支援するためのハンドブックも作成しました。JICAの研修プログラムで得た学びも反映しています。より多くの人が使えるように、英語版も作成したいと思っています。
JICAの継続的な支援に心から感謝し、私たちの協力が中央アジアにおける法的枠組み、制度能力、地域レベルの研修の強化にさらに貢献することを願っています。また、今後の参加者においては、この研修機会を最大限に活かし、日本の経験から学ぶと同時に、来日中は日本独自の文化と素晴らしいおもてなしに触れることをお勧めします。
日本は今も私にとってインスピレーションの源であり、今後数年間で学術的および制度的なパートナーシップをさらに深めたいと考えています。また、日本が大好きな妻と幼い娘と一緒に日本を訪れる計画もしています。
個人的にも、日本は私に強い印象を残しました。帰国後2年以上、日本語を独学で学んでいます。そして、来年の春に研究の一環で和歌山を訪れる際に日本語を練習するのを楽しみにしています。「私はダニエルです!はじめまして。さようなら!」
閉講式での写真
※ DMO(観光地域づくり法人)とは、地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する地域経営の視点に立った観光地域づくりの司令塔として、多様な関係者と協働しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくり を実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人。(国土交通省 観光庁 「DMO」の形成・確立に係る手引きより引用)
研修業務課 後藤 綾那
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