【草の根技術協力事業】ベトナム・ダナンで水産業人材育成プロジェクト開始
2024.05.21
2024.05.21
北海道釧路市及び北海道釧路総合振興局によって提案されたJICA草の根技術協力事業「水産都市ダナンをけん引する人材育成プロジェクト(地域活性化特別枠)」が2024年2月より開始されました。
本事業は釧路商工会議所とダナン市農業農村開発局(以下、DARD)が実施主体となり、ベトナム第3の都市・ダナン市において水産業の基盤となる専門的知識や技術を有する人や企業が育成される環境を整備することを目標としています。
日本の市場では主に鮮度や魚体の状態(損傷度)、旬であるかなどが漁獲物の値付けの基準とされていますが、ダナン市ではコールドチェーンが発達していないことに加え、漁獲物の価値を適正に判断できる人材が少なく、漁師は自分で値付けをすることはほとんどありません。
そのため、漁獲物が適正に評価されないまま中間業者が安価で買い取り、市場に出回るというサイクルになっています。
一般的な魚介物の売り場(タンケー水産市場)
釧路市及び釧路総合振興局、釧路商工会議所はこれまでもDARDと協力をし、同地域を対象にJICA草の根技術協力事業「ベトナム水産物における衛生・品質管理向上のための人材育成と釧路産水産加工品のPR事業(2014年2月~2016年1月)」、「ダナン市における水産物バリューチェーンモデル構築プロジェクト(2017年3月~2020年2月)」を実施してきました。一連の協力を通じて、ダナン市における水産物のバリューチェーンの確立に大きく貢献する一方、今後の課題として、水産機械の導入やメンテナンス技術の向上の必要性、漁獲物を適正に価値判断するスキル向上の必要性、釧路市内のベトナム人技能実習生の人材環流の活性化等が挙げられていました。
ダナン市農業農村開発局との協議の様子
このため、本事業では、これらの課題に焦点を当て、長期にわたり継続する水産分野の人材育成の環境整備を目指しています。具体的には、水産業のバリューチェーンである漁師・漁港・加工・流通の各段階において、釧路の水産技術を現地で研修を実施し、さらに長期的な人材育成の場となるよう研修教材の作成を行います。
4月中旬には事業開始後初めての現地渡航をし、ベースライン調査を実施しました。
現地のパートナーとなるDARDとの協議をはじめ、これから事業に協力をしてくれる企業との会議や、活動予定地となる場所の視察を行いました。
活動予定地のひとつであるトクアン漁港
本事業を通して水産技術を伝える環境づくりに取り組むことで、ダナン市において持続的に水産資源を有効活用できる体制を整えることが期待されます。
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