【JICA開発大学院連携】長期研修員が標津町の「日本遺産 鮭の聖地」に関する産業・歴史を学ぶ「地域理解プログラム」に参加しました
2024.10.03
2024.10.03
JICAでは、開発途上国で将来の国の発展を担うリーダーとなる行政官・技官らを長期研修員(留学生)として日本に受け入れ、技術・知識の習得や大学院での学位取得を支援する傍ら、日本の地域が発展するまでに辿った歴史・経験も学んでもらい、日本理解の促進や自国の発展に役立ててもらう「地域理解プログラム」を提供しています。
このたび北海道センター(帯広)では、9月18日(木)、19日(金)の2日間にわたり、帯広畜産大学、北見工業大学、北海道大学、酪農学園大学で学ぶ長期研修員25名を対象に、「日本遺産 鮭の聖地」に関わる歴史や自然、文化、産業を学ぶプログラムを標津町で実施しました。
【標津サーモン科学館見学】
標津町立標津サーモン科学館を見学し、鮭の一生や特徴、文化庁の日本遺産に認定された【「鮭の聖地」の物語~根室海峡一万年の道程~】の説明を聞きました。鮭が生誕後、ベーリング海~アラスカ湾を行き来しながら数年を海で過ごし、生まれた川へ戻って産卵し、新しい命へつないでいくという鮭の一生を聞いた研修員からは感嘆の声があがりました。また、鮭の遡上という自然のサイクルとともに1万年以上にわたって人々の営みが支えられてきたという壮大なドラマに、研修員は非常に興味をもって学びを深める様子がうかがえました。
【新巻鮭作り体験】
標津で水揚げされた鮭を使い、研修員1人につき1匹の新巻鮭をつくりました。体長50~60センチの鮭の大きさに驚きつつも、説明を受けながらナイフを使って内臓を取り除き、水洗い後、塩を揉みこみました。初めての体験に腰が引けている研修員もいましたが、数日後に各自宅へ届く鮭を楽しみに、丁寧に作業を行っていました。それぞれどのような鮭料理を作るのか気になります。夕食は全員で鮭のちゃんちゃん焼きを作り、鮭尽くしの1日となりました。
標津サーモン科学館見学
新巻鮭作り体験
【ポー川史跡自然公園の散策】
2日目はポー川史跡自然公園を訪問しました。ポー川史跡自然公園は、1万年前から続いた古代遺跡とその周辺の自然環境が一体的に保存され、「北海道開拓以前の文化的景観を体験・体感できる場所」をコンセプトにしています。ガイドの説明を聞きながら公園内を散策し、4,400を超える日本最大の竪穴群「標津遺跡群」を見学し、当時の人々がどのように暮らしていたか学びを深めました。
【原始河川ポー川でのカヌー体験】
天然記念物に指定されている原始的景観のポー川では、2~3名ずつに分かれカヌー体験を行いました。初めてカヌーを体験する研修員にとって、複雑に蛇行している川でのカヌー操作は難しく、お互いの舟にぶつかりそうになりながらも、「次は右側だよ」「少し下がろう」などと声を掛け合い、力を合わせてゴールを目指しました。豊かな自然の恵みと人々の営みを感じるひと時となりました。
参加者からは、「鮭と人々の歴史を学び、その文化的・経済的価値の重要性を学ぶことができた」「多くの人に標津に来てもらい、この歴史を学んでほしい」「普段できない貴重な経験をすることができた」という感想が寄せられました。また、プログラム中、研修員は積極的に質問し、お互いの国の文化についても活発に意見交換する様子も見られました。
帰国後、本プログラムや留学中に得た学びを糧に、知日派・親日派のリーダーとして自国の発展に寄与してくれることを願っています。
ポー川史跡自然公園散策
ポー川でのカヌー体験
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